日経PC21の編集長に着任してから6年近く。この間、ずっと継続していることがあります。それは、全国の書店さんに対する売り込みです。市販誌の編集長にとって、自分の雑誌がお店のどこに陳列されるかは死活問題。少しでも目立つ場所に置いてもらおうと、書店の担当者に懸命の売り込みをかけます。こうして6年近く書店営業をするなかで、いろいろな法則が見えてきました。今日は、その一端をご紹介しようと思います。

(1)営業をかける時間帯は慎重に選べ!

 書店の担当者に売り込みをかける時間帯は、慎重に選ぶべきです。午前中は、当日発売の雑誌を陳列する作業で手一杯。正午を過ぎると、お昼休みのサラリーマンがドッと押し寄せます。やっと手が空くのは午後3時~4時半ごろ。この時間帯なら、こちらの話に耳を傾けてくれる確率が高いと思います。でも、それも束の間。5時を過ぎると帰宅途中の人があふれ、店内はごった返します。この時間帯の書店営業は厳禁です。

(2)おみやげは不要! 店内で本を買え

 最初は、気を利かせてお菓子やケーキをお店に持参しましたが、これは相手に無用の気遣いをさせてしまうようです。それより、そのお店で本を買うことが何よりのプレゼント。買ったついでに話を聞けば、自然な形で会話が始まります。いつからか、本の購入と書店営業を必ずセットにするようになりました。

(3)情報はギブ・アンド・テイク

 店内では、今月のPC21がどれだけ売れたか、その実数を必ずお聞きします。その代わり、向こう3カ月間の編集予定表をこちらから先方にお渡しし、仕入れの参考にしてもらいます。情報はギブ・アンド・テイクが基本。こちらから積極的に提供すれば、先方もいろいろと“ディープ”な情報を教えてくれます。おかげで書店の裏事情には詳しくなりました。

(4)中小書店の方が効果大!

 最初は、PC21を50冊以上仕入れてくださる大型書店を中心に営業していました。しかし、このクラスのお店では、そう簡単に陳列のパターンを変えられません。その点、個人経営の中小書店は機動的。お目にかかった翌日に、さりげなく目立つ場所に置いてくれる、なんてこともよくあります。しかも、ディープな裏事情を聞かせてくれるのは、決まってこうした個人経営者の方々。長々と立ち話をすることもザラです。

 残念なのは、なじみの個人経営の書店の中に、店じまいをするところが増えてきたことです。大型書店チェーンでさえ、店舗数をどんどん減らしている時代。書店さんにとっては、本当に厳しい時代です。せめて、出版社に勤務する人間は、もっと書店を利用しなくては! 私はAmazonでは本を注文せず、必ず書店で購入するようにしています。