「NHKの番組が、インターネットやテレビで見たいときにいつでも見られる」というふれこみで2008年12月1日にスタートした「NHKオンデマンド」。「見逃し 見放題パック」を購入すると「見逃し番組とニュース番組がすべて見放題」と、とても刺激的な売り言葉がホームページにちりばめられている。時に貴重な取材番組を見逃してしまって悔しい思いをしている私としては、たまの利用にしかすぎないかも知れないが、会員になっておくべきかもと、早速、会員登録だけはしておいた。ところが、このサービス、Macにはとことん冷たい。

 NHKオンデマンドのサイトに用意してある「動作環境の確認」コーナーをチェックするとこんなメッセージが飛び出してくる(図1)。

図1 「Windows以外のOSの方は、ご利用になれません」。いやはや、こう真っ正面から切りつけられては、返す言葉もありません。「同じ状態が続き場合は、お手数ですが、NHKオンデマンドコールセンターまでお問い合わせください」という意味のない文言が、なんともはや、寂寥感を誘う。これを真に受けて電話したら、もっと打ちのめされる。
図1 「Windows以外のOSの方は、ご利用になれません」。いやはや、こう真っ正面から切りつけられては、返す言葉もありません。「同じ状態が続き場合は、お手数ですが、NHKオンデマンドコールセンターまでお問い合わせください」という意味のない文言が、なんともはや、寂寥感を誘う。これを真に受けて電話したら、もっと打ちのめされる。
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 木で鼻をくくるとはこういうことを言うのか、とため息が出てくる。スタートから既に1年以上が過ぎたのに、Windows以外のOSへの対応は全く進んでいない。

 Macで視聴できない理由は、NHKオンデマンドは利用者の認証にMicrosoftの「Windows Media デジタル認証(DRM)」を使っているためだ。これがMacでは全く機能しない。iTunes Storeなどを見ると明白なように、機種依存しないDRM技術はいくらでもある。なのに、なぜこんな、狭量なシステムを使っているのか? NHKにはあまねくサービスを提供する前提に立ってほしいと願うばかりだが、ことほどさように「NHKオンデマンド」にはクロスプラットフォーム戦略が希薄だ。