わが家にもやっと「スマート・メーター」が取り付けられた。

 ご存知の方も多いと思うが、スマート・メーターとは電子化された電力量計(電力メーター)のこと。いわゆる電気やガス、水道などのインフラ網をスマート化する「スマート・グリッド」の一環で、これがあると今後、色々なことが可能になるのだ。

 サンフランシスコのすぐ南の町に位置するわが家は、PG&Eと呼ばれる会社によってガスと電気の供給を受けている。だが、先日、そのPG&Eの作業員がやってきて、ゴソゴソと電源を切ったりつけたりを繰り返している。コンピュータの画面がついたり消えたりするので、一体何事かと外に出てみると、作業員が5分ほどの作業を終えて帰ろうとするところ。

 「スマート・メーターを取り付けました。これからは衛星で電気の使用量を読み取ります」と言い残していった。

 「ははー、これがうわさに聞いたスマート・メーターか」。さっそく見に行って、観察した。シリコンバレーの一端に位置しているというのに、よくメディアで報道されている先端技術が、なかなかわが家にやってこないなあと待ち望んでいたのだ。

 メーターの大きさは旧来のものとほぼ同じ。外見もあまり変わらない。これまでの電気メーターには、電気を使用している時に回る薄い歯車のようなものがあったが、それがない。デジタルな数字が並んでいるだけだ。だが、これだけ見ても何がよくなったのか、消費者にはわからないだろう。

 作業員が置いていった薄いパンフレットには、「お宅には、アメリカでも最先端のメーターがつけられました」などと、嬉しいことが書かれている。ただし、取り付けたからと言って、すべてのサービスがすぐに可能になるわけではないらしい。たとえば、遠隔地からの自動読み取りも、かなりの数のスマート・メーターの取り付けが終わり、それなりのシステムが開発されてからのことになるという。それまでは従来通り、係員が1軒1軒のメーターを見に来るのだ。

 PG&Eのサイトを見ると、このスマート・メーターは1時間ごとに電気使用量を無線で近隣地域のリレー拠点に送り、そこから携帯通信のネットワークでPG&Eへデータが送られるとある。近所のデバイスはメッシュ・ネットワークを構成して、フェイルセーフを図っているという。むむ、衛星とはどこにも書かれていないが……。まあ、自然の多いカリフォルニアのこと、ひょっとするとどこかの山岳地では衛星通信を利用しているのかもしれない。