「小中学生に携帯電話を持たせない『保護者の努力義務』を条例化した石川県は、来年1月の施行に向けてチラシやパンフレットによる周知活動を始めた」──8月21日の夕方、こんなニュースが配信されました。

 6月末に石川県で可決された全国初の「子どもの携帯電話購入・所持規制」の条例は、可決前にネット安全モラル学会から提出された「同案が否決されるとともに県内でネット安全教育が実施されることを強く願う」という反対の陳情書なども含め賛否両論。県内での周知活動がスタートした今でも、行政関係者、有識者、教育者、保護者といった人たちと話すたびに話題にあがります。

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 「保護者は、子どもに向き合い安全な使い方を話し合うように努力する義務」があると各方面にご協力を仰ぎ続けている私は、購入と所持の規制条例を作ってしまったら、携帯事業者が実施している安全教室のようなものも開催することすらままならなくなり、生まれてからずっと無菌状態の集中治療室で育てられた子どものようになると、よく話します。抵抗力が全くない(=何の知識も経験も持たない)ために無菌室から出た途端、軽い風邪のウィルスでも肺炎を起こしてしまいかねなに、そんな風に子どもを育ててはいけない! と。

 それに加え、インターネットを利用しなければ、携帯電話を持たなければ、ネットトラブルに巻き込まれないわけではない現状を考えれば、ネット環境のあるなしに関わらず、対応力を少しずつ身に付けさせてあげることなしに安全は確保できないのです。

 ネット環境がなくても安全ではないとは? と思われる方も多いと思いますので、先週末に大阪府箕面市で行われた安心ネットづくり促進協議会主催「もっとグッドネットin大阪」で講演した内容を整理して、今回はご紹介させていただきます。