最近クラウドコンピューティング(以下クラウド)が話題のようです。しかしその定義はヒトによってまちまちです。Web 2.0という言葉が騒がれていた頃も、何がWeb 2.0なのか良く分からなかったものです。そのなかではWeb 2.0の定義について詳細に語ろうとすると、「いやそれは違いますね」などとお互いに独自の定義についての考えを議論していたものです。

 クラウドにいたっては、そもそもSaaS(software as a service)自体がまだ浸透していないのに、新しいネットワークのあり方としてどんどんメディアでも取り上げられていましたが、ここにきて少し落ち着きを見せてきたようにも思います。

 クラウドの良し悪しを論じる前に、なぜこのような考え方が出てきたのかということから見てみましょう。

 まずは、ハードウエアの価格低下やデータセンターの過剰ともいえる投資の結果、サーバーなどを格納するラック当たりの単価が下がってきたこと、そして回線費用の低下などが大きな要因と考えられます。

 また企業の感覚から考えると、昔のように「ホストコンピューターは自社に置くのが当たり前」という感覚が、「データセンターに置くのが当たり前」に変わってきて、それが「データセンターにあるのなら自社のデータも他社と同じサーバー内にあってもいいのでは」という感覚にどんどん変わってきた(慣らされてきた?)のではないでしょうか。

 ある会社では「自社に置いて自分で管理するよりデータセンタでプロに管理してもらった方がセキュリティ面からも安心」という声も聞かれました。

 では、セキュリティ専門家としてみると、どのようなことが心配されるでしょうか。最近良く聞かれるので、簡単にまとめてみましょう。