新聞やニュースでもかなり大きく取り上げられていたので、ご存知ない方のほうが少ないと思うのですが、文部科学省は2月25日、「子どもの携帯電話等の利用に関する調査」の結果を発表しました。

 調査の詳細や結果資料は文部科学省公式サイトの当該ページでお読みいただけますが、文部科学省が携帯電話の利用実態調査を行うのは初の試みで、「子どもたちの携帯電話の利用実態や意識等を把握し、今後の取組推進のための基礎資料を得る」ために、全国から無作為抽出した公立5,000校の「小学6年生」「中学2年生」「高校2年生」「当該児童生徒の保護者」「小・中・高等学校」を対象に行ったものです。

「やっぱりケータイは問題だ!」と多くの大人に感じさせるキャッチーなコピーが、『10代ケータイ依存症』という見出しと共に1面に並んでいる新聞もありました。でも、ちょっと冷静になって、これらを逆に読んでみてください。

 『中2の2割 メール1日50通』→『中2の8割がメール1日50通未満』
 『高2の4割 プロフ開設経験』→『高2の6割がプロフ開設未経験』

 私立の女子校であればもっと数値は上がるはずですが、公立中学・高校の調査では、中2の8割が“大人が想像していたほどではない数”のメールのやり取りにとどまっていて、高校生ならほとんどが持っていると思っていたプロフも、高2の6割は開設経験がない、ということになります。問題がないとは決して言えませんが、このように読み取ることさえできれば「今のうちに何とかしてみよう」という気にもなるでしょう。

 携帯電話を厄介なモノだと感じている大人たちの心のフィルターが、「臭いものにフタ」の対象にできるよう、マイナス方向から見た数値を受け入れることに躊躇(ちゅうちょ)しないのだろうと考えます。ケータイを持っていたから助かった、ケータイがあったから○○しないで済んだ、のような携帯電話を肯定するような話題よりも、都合がいいのかもしれません。

 新聞もニュースも、注目してもらうことが大切な報道媒体ですから、危機感をあおる表現となる場合も多々あります。でも、ビジネスではない「子どもたちの成長に関わる」情報については、自分の都合で受け止めず、冷静に本質を読み解いて行動することが、今の大人たちに課せられているような気がしませんか?