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松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」

若者のクルマ離れと良い道具について

松浦 晋也=ノンフィクション・ライター 2009/02/09 PC Online

 自動車各社の業績が一気に急降下したことに合わせて、ネットでは、なぜ自動車が売れなくなったかについて、さまざまな意見が出ている。その中でも「若者がクルマを買わなくなった」現象が注目を集めており、日経BP社のページでも日経ビジネスオンライン「若者のクルマ離れ、その本質は「購買力」の欠如 派遣など不安定就労社会のツケがきた」と、「若者のクルマ離れ、読者コメントから再考 『魅力欠いた商品』など要因は複合的」、あるいは日経Automotive Technology「今年こそ、若者をクルマ好きに」といった記事が出ている(日経ビジネスオンライン、日経Automotive Technologyを全文読むためには、共に無料登録が必要)。

 この話題は多くの人々の関心を呼ぶようだ。日経ビジネスオンラインの記事は100件近い読者コメントが付いて続編が書かれた。はてなブックマークでは300件を超えるコメントが付いている。日経Automotive Technologyの記事はといえば、こちらもはてなブックマークで200件近いコメントが付いている

今年の1月25日、お台場で開催された日本クラシックカー協会主催のニューイヤーミーティングに行ってきた。クラシックカー愛好家が愛車を持ち寄る年に1回のお祭りだ。写真は1950年代に当時の西独で開発された「メッサーシュミットKR200」(撮影:松浦晋也)。“カビネン・ローラー(キャビン付きスクーター)”と呼ばれる3輪車の1種だ。かつて航空機を制作していたメッサーシュミット社が、敗戦後の貧しさの中で航空機製造の経験を最大限に生かして開発した、「2人の人間が快適に移動するための乗り物」である。今なお世界中に愛好家が存在し、驚くべき事に新品の部品すら供給されているという。
[画像のクリックで拡大表示]

 日経BP社のページに限らない。「若者のクルマ離れ」で検索すると、さまざまなところで色々な人々が理由を考えているのが見つかる。曰く、「低賃金化で経済的に自動車を持つことが負担になっている」、「都市部では自動車による移動は不便なだけ」、「趣味が多様化してクルマだけにお金を注ぎ込む理由が薄れた」、「かつて若者が自動車に払っていた金は、今では携帯電話会社に行っている」、「無理してでも乗りたいと思う車種をメーカーが作ってくれない」、「今後継続的に自動車を買っていくであろう、若い男性層向けの入門者としての格好良くて安価な車種が存在しない」、「自動車技術が進歩しすぎて操る喜びが失われた」などなど――。

 この話題がこれほどまでに盛り上がるということは、「日本にはまだまだ自動車が大好きな人が多い」ということの表れのように思える。自分が大好きな自動車から若者が離れつつあるということに対して一言言わずにはおられない――そんな状況であるような気がする。

 そう、私もなのだ。一言いいたくてたまらない。以下、この議論に新しい視点を加えるべく1つの見方を提示しよう。

 「良い道具とは」という視点だ。

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