パソコン雑誌の世界では、一つの定説があります。それは「モバイルノートの特集記事は、読者にウケない」というジンクスです。出先にパソコンを持ち運ぶのは、ごく一部の限られたユーザーだけ。おまけに、携帯電話がこれほど高機能になれば、モバイルノートなんて必要ないし出る幕もない。それが、我々の常識でした。

 この定説を覆したのがネットブック。台湾メーカーのアスースが4万円台で発売した「Eee PC」を皮切りに、日本HPやエイサー、デルなどが次々と同様の製品を発売。機能を省き、ネット端末に徹した割り切りが功を奏し、一気に市場が広がりました。こうした流れを受け、日経PC21でも9月号でネットブックの特集を組んだのですが、予想をはるかに上回る反響がありました。

 読者の反応を見て、一つ分かったことがあります。それは「モバイルはウケない」という我々の先入観が間違っていたこと。ニーズは以前からあったのです。ところが、従来のモバイルノートは20万円以上が相場で、とても高価な製品。おいそれと手を出せる価格ではありません。その点、ネットブックなら容易に手の届くレベル。驚異的な安さが潜在ニーズに火を付けたのでしょう。

 国内PCメーカーのなかには「ネットブックは一過性のブームに終わる」と見る人もいます。「できる事はメール送受信とネット閲覧だけ。これでは役に立たない」と言うのです。しかし、出先でPCを使うならそれだけで十分。文書作成や動画編集は二の次です。実際、売れ行きが伸びているのが何よりの証拠。量販店のネットブック売場は、相変わらず人だかりがしています。私には、ネットブックが一過性のブームに終わるとは思えません。