サムスン電子がグローバル市場に向けて力を入れている「SOULフォン」シリーズに女性向け端末が新登場した。タッチパネル、500万画素カメラに地上波DMB(ワンセグ)受信、電子辞書やMP3など端末本来の機能がてんこ盛りで、カラーはメタリックなピンク色。その名も「SOULピンクエディション」と名づけられた。

 「SOULフォン」シリーズはタッチパネル携帯の中でも人気が高く7万円は下らない代物。しかしこの新しい端末の女性専用機能というのがネットで論争を巻き起こしている。

 例えばSOSサイレン機能。ボリュームボタンと上下方向キーを同時に押すとサイレンが鳴るという機能。夜道を一人で歩いていて危ない時にSOSを求められるというが、サイレンを鳴らすだけで、警察や家族に自動通報できる機能はない。強盗にあってサイレンを鳴らしたのはいいものの、誰も助けに来てくれず強盗を刺激するだけだったらどうする?もっと大きな事件になってしまう可能性だってある。

 しかもこのSOULフォン、2008年6月から8月に販売された約20万台は、112(韓国の110)に電話をかけると消防防災庁につながるという欠陥が発見された。犯罪の被害に遭い緊急通報したものの、電話がつながった消防防災庁ではなんでここに電話するんだといって切ってしまったということが何度もあったという。消防防災庁もひどい。そんな時は代わりに通報してくれたっていいじゃないか。

 被害者らが製造会社であるサムスン電子に苦情をいうとキャリアの問題だといい、キャリアはサムスン電子の問題だから責任は負えないと言っているようで、まだリコールには至っていないようだ。サイレンを鳴らして犯人を躊躇させてから警察に通報したくても警察につながらない。危ない状態は消費者不在のまま、まだ続きそうだ。

 もう一つは女性専用というよりSOULフォンの特徴であるが、電話がかかってきたようなふりができるという機能だ。これは自分に電話をかけられるようになっている機能で、タイマーのように予約もできる。退屈な会議から抜け出したいとき、タクシーの中で運転手さんに話しかけられたくない時に使うと便利だというが、ネットでは会社員が会議をさぼっていいのか、これは倫理的に問題がある、これのどこが女性専用機能だと論争になっている。

 確かに話しを早く切り上げたい時には電話がきたふりをするのも手であるが、これって新しい機能として大々的に宣伝するほどすごい機能なのだろうか?ネットでは、こんな機能を追加するより端末の値段を下げるか、欠陥のない端末を作ってほしいという書き込みが後を絶たないが、私も同感である。

 同じ端末モデルでも女性向け、男性向けに分けたり、細かい機能で分けたり、折りたたみかバータイプかで分けたり、ターゲットをはっきりさせるのが最近の傾向だ。ターゲットにしているユーザー層に喜ばれる機能を追加していくというサムスン電子の心配りは嬉しいけど、もうちょっと深く考えてほしい。そもそも、ピンク色を好まない女性だっているわけだし。女=ピンクということ自体、時代遅れじゃないか?どうも感性がずれている。ひょっとしたらこの女性専用機能、開発したのは男の人ではないだろうか。

 ただ、機能はどうであれ、SOULフォンの製品サイトはとてもよくできている。みなさんもぜひアクセスしてみてください。