中学3年生の文夫さんは友達にさそわれて、初めてインターネット・カフェに行きました。友達からは、安い料金でインターネットが使えるし、マンガも読みほうだいだからおもしろいと聞いていましたが、お店の周りは若い人がたくさんいてちょっと怖い感じがしました。
 また、文夫さんはふと、「1台のパソコンを知らない人がみんなで使って問題はないんだろうか」と疑問に思いました。友達は「そんなこと気にしなくていい」と言いますが、最近個人情報の保護が話題になっているので、気になりました。

解説

 今、インターネット・カフェが若者の間で人気をよんでいます。安い料金で24時間インターネットが使いほうだい、マンガも読みほうだい。中にはシャワー付きやドリンクが飲みほうだいの店もあります。たしかに便利ですが、インターネット・カフェの多くは駅の近くやはんかがいにあるため、子どもだけで行くことはすすめられません。途中でからまれたりお金をおどしとられたりするなど、トラブルにあうこともあるからです。小中学生だけでゲームセンターに行かないのと同じです。

セキュリティを確認する

 大人にとっては便利なインターネット・カフェですが、知らない人が1台のパソコンを使うので、気をつけなければいけないこともあります。ぜひ、おうちの人に教えてあげてください。2003年に、インターネット・カフェを悪用されて、1600万円もの大金を盗まれた事件がおきました。犯人はインターネット・カフェのパソコンにあるソフトをこっそりインストールしておき、次にそのパソコンを使った人の操作記録をすべて取りました。そこからインターネット銀行のIDとパスワードを盗み出して、自分の口座に1600万円も振り込みをしたのです。しばらくして犯人はつかまりましたが、だれもが使うパソコンには、何がしかけられているかわからないという実例です。
 じつは、インターネット・カフェによってセキュリティの考え方や仕組みがちがいます。パソコンを再起動するだけですべてが元の状態にもどる仕組みを取り入れた店なら安全です。しかしこうした仕組みを組み込むとお客に不便なこともあるので、店によっては使わないところもあるようです。このような店では次のような点に気をつけなければいけません。

○個人情報を入力しない

 上の例のように、こちらがいくら気をつけても、使った記録を取られては防ぐことはできません。そのときのために、名前、住所、電話番号、メールアドレスなどの個人情報は入力しないほうが安心です。

○ごみ箱は空にする

 ウィンドウズでは、ファイルを削除してもゴミ箱に入るだけで、じっさいには削除されません。人に見られては困るファイルは、必ずゴミ箱の上で右ボタンをクリックし、「ゴミ箱を空にする」をクリックします。これで初めてパソコンから削除されます。

○IDやパスワードをなるべく使わない

 インターネット・カフェでは、ウェブページから利用できるウェブメールがよく使われます。ブラウザーがあればメールが使えるので、インターネット・カフェでの利用にはもってこいだからです。しかし、ブラウザーにはIDとパスワードを記憶する仕組みがあるので、次の人が偶然同じウェブページを開いたとき、そのIDとパスワードが表示されるかもしれません。できるだけIDとパスワードを使うサイトは開かないほうが安心です。また、ブラウザーの履歴も消去しておきましょう。

○再起動して確認する

 再起動すると元にもどると書いてあっても、利用が終わったら必ず再起動して、ほんとうに元にもどっているか確認しましょう。

保護者の方へ

子どもだけでは行かせない ネットの利用は家庭で

 本文にも書いていますが、子どもだけでインターネット・カフェに行かせるのはおすすめできません。あくまで大人のための店だと考えてください。インターネットは親の目の届かないところで利用させるのではなく、自宅のリビングなど、親が利用内容を把握できるようにするべきでしょう。