エクセルでは、数式の中で「""」と指定して「空欄」が表せる。式で空欄を判定したり、セルを空欄にするときに使う常套手段だ。だが「""」で作った空欄と本物の空欄は、厳密には内容が異なる。両者の違いをきちんと理解しておかないと、思わぬ混乱を招く。

 エクセルは、何も入力していない「空欄」のセルを計算対象にすると、空欄を「0」(ゼロ)と見なして計算する仕様になっている。例えばB2セルとC2セルが空欄のとき「=B2+C2」という式を立てると、結果は「0」になる。

 このことを念頭に置いて、図を見てほしい。エクセルで作った請求書だ。小計欄には「数量欄が空欄ならセルを空欄にし、そうでなければ小計を求める」というIF関数の式が入っている。「空欄かどうか」を判定したり、「セルを空欄にする」という指定に使うのが「""」という表記。式の中で「空欄」を表すには、「""」のようにダブルクォーテーションを二つ続けて指定するのが定石だ。この式により、図ではD5、D6セルが空欄にされている。

 ところが、これらの小計欄を足した合計欄(D7セル)を見ると、エラーが表示されている。これはおかしい。冒頭に述べた通り、エクセルは「空欄」を「0」として計算する仕様になっている。だとすれば、D7セルの式でも、計算済みの小計に空欄の「0」を足して、正しい合計を求められるはずではないか。

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