ボンジョールノ!

 さて、僕はこの原稿を今、カヤックの旅する支社「フィレンツェ」で書いています。旅する支社については、下記の記事をご参照ください。

 第10回:長期休暇でもない長期出張でもない旅する支社制度
 第99回:旅する支社2008年を通して、ものの見方について

この99回の記事でも紹介しましたが、僕らのサービス「ART-Meter」がイタリアに進出したこともあり今回は、アートメーターについてのお話をします。

このアートメーターは、カヤックらしいユニークな事業として推していきたいサービスのひとつです。

「画家と購入者をマッチングする。ただし、参加は自由。プロデュースはせずに仕組みをつくって場所だけを提供」という、まさにネット的で、ロングテールの代表とも言えるサービス。さらにはSNSやCGM的なる要素も加わって、ショッピングサイトでもありながらコミュニティサイトでもあるというサービスです。

 サービスを立ち上げてから今年で4年目。まだまだ「ニッチなサービス」からの脱皮は図れていませんが、年々伸びているのは事実です。

 もともとアートメーターは、「絵を描く」「絵を売る」「絵を買う」「絵を飾る」「絵をプレゼントする」という行為を、もっと気軽に楽しんでもらい、その行為を活発にするためにスタートしました。

 そこで、どうやったらそのようなマーケットができるのか、と考えました。

 まず、買う立場にいる人たちの取り込みを優先しました。“買う人”がいなければ、“描く人”も増えないからです。“買う人”に覚えてもらうために考えたことと、生まれた仕組みは次の3つ。

   ユニークな売り方をしている絵のお店にしよう
   ⇒「絵の測り売り」というキャッチーなシステム

   もっと、絵を安く雑貨感覚で売ろう
   ⇒画家の最初の販売価格は誰もが一律で低価格。

   仮に高い絵だとしたら納得して買ってほしい
   ⇒画家の人気度が単純明快。人気があがれば価格があがるルール

 一方で、画家の立場の人は、

   売れる=自分の作品をいいと言ってくれる人がいる
   ⇒コミュニケーションをとる
   ⇒また売れる

 この後はよい循環に入ります。こうして買う人が多くなればなるほど、画家もモチベーションがあがってくる。そして多くの画家が参加する。多くの画家が参加すれば絵の質もどんどんあがる。

 ・・・と、このようなサイクルを目指して、試行錯誤してきたわけです。

 ただ、そうはいっても、成長はなかなか急カーブを描くことなく、ほんとに遅々としたものです。

 それもそのはず。そもそも「絵を買いたい」という動機をもっている人が、日本の社会には、圧倒的に少ないからです。せめて、潜在需要があれば、イメージを伝えることで売れるようになるとは思うのですが、それすらもあやしいといったところ。

 でも(もちろん、自分自身がアートメーターの顧客だからということもあるのですが)、きっと今後、家に絵を飾りたいという人は日本でもどんどん増えるはず!

 ・・・と思って続けています。

 で、そういったマーケットがどこまで広がるかという話はさておき。

 上記に記述したサービスをはじめた理由のひとつ、「絵をプレゼントする」という行為を楽しんでもらうこと。

 ここには比較的、可能性と手ごたえを感じています。

 それが、ART-Meterにおける「オーダーアート」という仕組みです。

 ART-Meterで活躍する画家に、予算とモチーフ、テーマなどをリクエストして、自分のためだけの絵を描いてもらうという仕組みです。