ニュース記事をブログやTwitter、SNSで引用できる?

記事の見出しとリンク、本文1~2行程度など、必要な範囲内で引用するだけなら問題ありません。

 ブログやTwitter、SNS(ソーシャルネットワーキングサービス)が広く普及し、個人がインターネット上に書き込む機会は大幅に増えている。そうした書き込みの際、題材としてニュースサイトで見かけた記事を引用する機会は少なくないだろう。

 著作権法は、「引用」は著作権者の許諾を得ることなく自由にできると定めている。ただし、引用によく似た概念として「転載」があり、著作権者に無断でその著作物を転載すると著作権法違反となる。

 では、引用と転載の境目はどこなのか。引用として認められるには、(1)目的に必然性がある、(2)必要最小限にとどめる、(3)自分の文章が主、引用部分が従という関係を守る、(4)かっこなどで引用部分を明示する、(5)出典を明記する──という5つの要件を満たす必要がある。

【必要以上の引用はご法度、出典明記などのルールも】
引用は自説の証明や補足の際に、必要最小限の範囲で許される。記事全体に関して数行感想を述べるだけでは主従関係に反する。かっこなどによる引用部の明示や、出典の明記も必要だ
引用は自説の証明や補足の際に、必要最小限の範囲で許される。記事全体に関して数行感想を述べるだけでは主従関係に反する。かっこなどによる引用部の明示や、出典の明記も必要だ
[画像のクリックで拡大表示]

 この5要件に沿って、引用の範囲外となるケースを具体的に見ていこう。(1)の「目的の必然性」は、例えば自分がオリジナルで書き込んだ部分とニュース記事の内容が無関係のものであると、そのニュース記事は引用として認められない。

 (2)の「必要最小限」は、著作権法の中で具体的にどの程度が必要最小限かを決めているわけではない。例えば記事中から何段落にもわたりテキストを丸ごとコピーして自分のブログやSNSに貼り付けるような場合は、必要最小限という範囲を逸脱しており転載と見なされる。1~2行程度の引用であれば、問題になることはまずない。

 (3)の「主従関係」では、自分の書き込みより引用部の方が長い、あるいは引用部のみで自分の書き込みがないといった場合は、この主従関係のバランスが崩れており、正当な引用とは見なされない恐れがある。引用記事は、あくまで自分の書き込みの補足として使うにとどめよう。

 (4)の「かっこなどによる明示」は、引用したニュース記事の中に自分のコメントを混ぜてしまうなど、どの部分が引用でどの部分が自分の書き込みか分からないといった場合に問題となる。

 (5)の「出典」は、どこからの引用かをほかの人が見て確実にたどれるかどうかがポイントだ。紙の出版物なら書名と発行日、著者名、ページなどを、Webページなら記事のタイトルと掲載されているWebサイトの名称、著者名、URLなどを書いておこう。以上の5項目に気を付けながら引用すれば、特に問題はない。

 ブログやSNSなどでニュース記事の全文を紹介したい場合は、全文を貼り付けるのではなく、その記事へのリンクを張ろう。URLは著作物ではないので問題ない。

 なお、ニュース記事の本文ではなく見出しだけを使う場合は、やや事情が異なる。ニュースの見出しの無断使用をめぐり読売新聞東京本社とニュース配信サービス会社が争った訴訟(ヨミウリオンライン訴訟)の高等裁判所判決で、「一般的にニュース記事の見出しは必ずしも著作物に該当するとはいえない」という判断が出ているためだ。この判例に従えば、見出しとURLだけであれば、自分のブログやSNSで使える可能性があるということになる。

 ただし、この場合も無尽蔵に使えるわけではない。同訴訟の高裁判決は、営利目的で継続的に見出しを使用するのは、著作権侵害でないとしても、民法で定める一般不法行為に当たるとして、ニュース配信会社に損害賠償の支払いを命じている。