2011年は、国内の電子書籍事業に参入する企業が相次ぎ、電子書籍配信サービスが急増した。その起爆剤となったのが、急速に普及したスマートフォンやタブレット端末などのモバイル機器(図1)。通勤時やちょっとした待ち時間に読める手軽さから、利用者の裾野を大きく広げた。
電子書籍の増加も後押しした。話題の新刊書や人気作家の小説/コミックが電子書籍化されるなど、コンテンツが充実してきている。一方で、課題も浮き彫りになりつつある。それは仕様の標準化が遅れていること。中でも電子書籍のフォーマットが問題視されている(図2)
当初、日本語表記に適した標準的なフォーマットが存在しなかったこともあり、多数のフォーマットが考案された。現在では、電子書籍で利用されるフォーマットは、国内だけで数十種類に及ぶ。フォーマットの多くは独自形式であり、OSの標準機能では読むことができない。閲覧するには、配信サービスが公開している各端末用のリーダーを使う必要がある。ややこしいのは、配信サービスによっては、複数のフォーマットに対応していることだ。通常は電子書籍のフォーマットごとに、対応するリーダーを使うことになる。