前章まで公衆無線LANサービスのメリットを見てきた。それでは実際に公衆無線LANを試してみよう。とはいえ、いきなり有料のサービスを契約するのは抵抗がある人も多いだろう。まずは、誰でも使える無料の公衆無線LANサービスで使い勝手を体験してみよう。ここでは「FREESPOT」を例に挙げる。FREESPOTのサービスエリアは、FREESPOT協議会のWebサイト(http://www.freespot.com/)で確認できる。

 サービスエリア内に入ると、FREESPOTのSSIDが2種類見えるはずだ(図1)。1つは無線接続の暗号化を施していないSSID、もう1つはWPA方式の暗号化を施しているSSIDである(比較的古いアクセスポイントでは前者のみ提供)。暗号化なしのSSIDでは通信内容を他者に傍受される危険があるため、WPAで暗号化されているSSIDの利用がお勧めだ。「WPAであれば、セキュリティキーが公開されていても、それを基に通信内容を解読されることはなく、安全にデータ通信できる」(FREESPOT協議会の幹事会社であるバッファロー ブロードバンドソリューションズ事業部 フリースポットグループの山下英樹氏)。セキュリティキーは「freespot」だ。WPA対応のSSIDを提供していないアクセスポイントなどで、暗号化なしのSSIDを使う場合は、SSL非対応のWebサイトでパスワードや個人情報を入力しないようにしよう。

【無料の公衆無線LAN、FREESPOTへの接続方法】
[画像のクリックで拡大表示]

図1 FREESPOTは、WPA方式で暗号化されたSSIDと、暗号化されていないSSIDがある。より安全な前者をお勧めする。また、ネット犯罪防止のため、利用者のメールアドレスにパスワードを送ることで身元確認する仕組みを採っている。パスワードメールをその場で確認できる携帯電話やスマートフォンを持っておこう。なお、比較的初期のアクセスポイントでは、暗号化SSIDやメールアドレス認証が未採用のところもある
図1 FREESPOTは、WPA方式で暗号化されたSSIDと、暗号化されていないSSIDがある。より安全な前者をお勧めする。また、ネット犯罪防止のため、利用者のメールアドレスにパスワードを送ることで身元確認する仕組みを採っている。パスワードメールをその場で確認できる携帯電話やスマートフォンを持っておこう。なお、比較的初期のアクセスポイントでは、暗号化SSIDやメールアドレス認証が未採用のところもある
[画像のクリックで拡大表示]

 次に、ユーザー確認のための「メールアドレス認証」という手続きがある。これは、匿名のユーザーがFREESPOT経由でネット接続し犯罪行為をするのを防ぐためのものだ。

 Webブラウザーを起動すると認証用の画面が起動するので、携帯メールなどその場で確認できるメールアドレスを入力する(フリーメールのアドレスは使用不可)。数十秒ほどで4けたのパスワードを記したメールが届くので、そのパスワードを認証画面に入力する。これが完了すれば、あとは自宅の無線LANと同様にインターネットを利用可能だ。