会員制のWebサイトでは、一度ログインすると、名前(登録名)が表示され続けたり、会員限定ページへアクセスできたりする。ところが、自分ではログアウトした覚えがないのに、ある日突然、名前が表示されなくなったり、会員限定ページにアクセスできなくなったりすることがある(図1)。原因は、「Cookie(クッキー)」だと考えてまず間違いない。

【ある日突然、名前が表示されなくなった】
図1 会員制のWebサイトにおいて、ログアウトした覚えがないのに、ログインしていない状態になったことはないだろうか。原因は「Cookie」だ
図1 会員制のWebサイトにおいて、ログアウトした覚えがないのに、ログインしていない状態になったことはないだろうか。原因は「Cookie」だ
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 WebブラウザーとWebサーバーがデータをやり取りするために使うHTTPには、ユーザーを識別する機能はない。そこで、Webの世界でユーザーを識別するための仕組みが複数考え出されている。その1つがCookieだ。Cookieは仕組みの名称だが、その仕組みで使われる情報(データ)を指すことも多い。

 Cookieの仕組みは以下の通りだ(図2)。ブラウザーでCookieに対応したWebサーバー(Webサイト)にアクセスすると、WebサーバーはCookieを送信。Cookieを受信したブラウザーは、Cookieをファイルとしてパソコンに保存する。以降は、同じWebサーバーにアクセスする際には、保存されているCookieを毎回送信する。Webサーバー側も、必要に応じて新しいCookieをブラウザーに送信して、Cookieファイルの内容を更新する。通常、Cookieにはユーザーごとに割り振った番号が記載されているので、どのユーザーがアクセスしているのかをWebサーバーが識別できる。

【「Cookie」でユーザーを識別】
図2 WebサーバーはCookieと呼ばれる情報を使って、アクセスしているユーザー(Webブラウザー)を識別する。Cookieはパソコンに保存され、Webサーバーにアクセスした際に送信される。Webサーバーからも、適宜新しいCookieが送信される
図2 WebサーバーはCookieと呼ばれる情報を使って、アクセスしているユーザー(Webブラウザー)を識別する。Cookieはパソコンに保存され、Webサーバーにアクセスした際に送信される。Webサーバーからも、適宜新しいCookieが送信される
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 ブラウザーが受信したCookieは、特定のフォルダーにテキストファイルとして保存される(図3)。保存されるフォルダーは、OSやブラウザーの種類によって異なる。

【Cookieの実体はテキストファイル】
図3 Cookieはテキストファイルとしてパソコンに保存されている。IEでは、同じサイトから発行された複数のCookieは1つのファイルにまとめられる(右)。Windows 7では、ユーザーフォルダー以下の「AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Cookies\Low」などに保存されている(左)。Cookieが保存されているフォルダーは、初期設定では表示されない
図3 Cookieはテキストファイルとしてパソコンに保存されている。IEでは、同じサイトから発行された複数のCookieは1つのファイルにまとめられる(右)。Windows 7では、ユーザーフォルダー以下の「AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Cookies\Low」などに保存されている(左)。Cookieが保存されているフォルダーは、初期設定では表示されない
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