渡辺 勝弘、園田 道夫、有限会社タプレ

 携帯電話でもパソコンでも、ある日なんの前触れもなく、利用料金などを請求するメールが届くことがあります。もちろん、あなたに全く心当たりがなくても、です。一時期、テレビや新聞を騒がせていましたが、今でもインターネットの世界では猛威をふるっています。

 まずは上図をご覧ください。実際に送られてきた架空請求メールをまとめたものです。株式会社を名乗り、住所や連絡先があり、「裁判所」「回収員がご自宅または勤務先に直接回収」などと、本人を怖がらせる言葉が並んでいます。

 みなさんもご存じの架空請求詐欺。一時期、売ってもいない商品やサービスの料金を請求するハガキが送られてくることが話題になりました。この手法は、意外とだまされてしまう人が多いようで、詐欺の代表的な手法として定着してしまいました。これがそのままインターネットの世界にも持ち込まれ、手当たり次第に架空請求メールを送信しているのです。

 架空請求の手口にはいくつか種類がありますが、出会い系サイトやアダルトサイトの利用料金に関するものが多いようです。メールを送る手間はわずかですし、送り先のメールアドレスは専門の業者から購入することができます。パソコン上で英数字を組み合わせ、大量のアドレスを作り出すことも簡単にできます。1万人送りつけて3~4人引っかかれば、手間などを考えても十分元が取れます。単純に計算すると、10万通送れば30人から入金があり、1人3万円請求したとしても、それだけで90万円。ほとんど手間や経費を必要としませんから、ネット詐欺にとっては意外と割の良い儲けなのかもしれません。もちろん立派な詐欺ですので、真似などしないように。