渡辺 勝弘、園田 道夫、有限会社タプレ

 ネズミ講も古くからある詐欺手法で、正確には無限連鎖講と呼びます。メールの普及で、不特定多数の人に勧誘できるようになったため、ネット詐欺師にとってはいい環境と言えるかもしれません。単純にお金を集めるもの、宝石や情報をからめるなど、いくつかのパターンがあるようです。

 次のようなメールを受け取ったことはありませんか。

 「このメールに記載された4人の口座にそれぞれ1000円ずつ送金してください。一番上の名前と口座を削り、一番最後に自分の名前と口座を追加して、多くの人に送ると、数カ月後には年収以上のお金を得ることができます」。

 これはマネーゲームとも呼ばれるもので、ネズミ講の単純な例です。他にも単なる勧誘に宝石や情報などを付けて、リベートで利益を上げようとするものなどが存在します。

 もちろん、これらの誘いに乗ったとしても、利益を得られるのはネズミ講を始めた胴元など、階層の上位に存在する一部の人だけです。理由は簡単で、連鎖が無限に続くことを前提としているからです。つまり、メールを受け取る人が無限に存在しなければならないのです。ひとりが5人を勧誘するとして、これを10回行うと約600万人になります。そんなに多くの人がだまされるわけがありません。

 ネズミ講は「無限連鎖講の防止に関する法律」に触れ、有罪となるケースもあります。「これは違法ではありません」と書かれていることもよくあります。このような誘いがあっても無視することです。

  “違法ではない”が違法のサイン

イラスト:きよすけ、笹野 喜嗣