渡辺 勝弘、園田 道夫、有限会社タプレ

 ブランド物のバッグや財布などは、とても精巧にできた偽物が数多く存在しています。専門家でも、ちょっと見ただけでは本物か偽物かの判断ができないようなものもあります。こうした問題を悪用して、本物を落札し、偽物を返品してしまうすり替え詐欺が存在します。

 伊藤さん(仮名)は、もう使わなくなったあるブランドのバッグを出品しました。いろいろな角度から撮影した写真を載せ、本物であることが分かるように、ロゴの部分も撮影して掲載しました。

 無事落札され、すぐに入金してくれたのでさっそくバッグを送りました。するとすぐにメールが送られてきました。メールを開くと「偽物だった!」とのクレームです。きちんと有名百貨店で購入したものだったので「そんなことはない」と主張しましたが、「偽物を送るなんて詐欺だ!」とすごい剣幕で怒っているので返品を受けることにしました。

 翌日「本日発送しました。返金をお願いします」とのメールが届きました。伝票番号があったので念のため検索したところ、確かに発送されたことが分かりました。伊藤さんは品物の到着を待たずして、すぐに銀行へ行き、返金しました。

 翌日、返品されたバッグが届きました。さっそく荷物を開けてみたところ、自分が出品したものではない、偽者のバックが入っていました。あきらかにすり替えられています。落札者にクレームのメールを送りましたが連絡が取れず、ユーザーIDも削除したようです。手元に残ったのは偽者のバッグだけでした。

  返品を確認してから返金すべき

イラスト:きよすけ、笹野 喜嗣