手軽にデータを持ち出せて便利なUSBメモリー。今や容量8ギガバイトの製品が1000円余り。手放せない人も多いだろう。

 実は、USBメモリーにも寿命がある。使えば使うほど余命は短くなるし、使わずに大事に保存しておいても、データが消えることがある(図1、図2)。

【「寿命」と「自然蒸発」、USBメモリーには2つの危険がある】
図1 USBメモリーは、ファイルをたくさん書き込むほど劣化が進む。やがて寿命を迎えると、データの読み書きができなくなる。長時間放置すると、データだけが自然に消えてしまう現象も起こる
図1 USBメモリーは、ファイルをたくさん書き込むほど劣化が進む。やがて寿命を迎えると、データの読み書きができなくなる。長時間放置すると、データだけが自然に消えてしまう現象も起こる
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【こんな使い方に要注意!不意にデータを失うこともある】
図2 大事なファイルを保存したまま、USBメモリーをしまい込むのは、意外に危険。ある程度、書き込みもしないと、データが消えてしまう。その点では、読み込み専用として使うのも危ない。一方、激しくファイルを書き換えるのも、寿命を縮めてしまう
図2 大事なファイルを保存したまま、USBメモリーをしまい込むのは、意外に危険。ある程度、書き込みもしないと、データが消えてしまう。その点では、読み込み専用として使うのも危ない。一方、激しくファイルを書き換えるのも、寿命を縮めてしまう
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 トラブルの原因はUSBメモリーの中身、「フラッシュメモリー」という半導体の特性にある。フラッシュメモリーは電源を落としても、データが消えない特殊なメモリーだ。電源が必要なのはデータを読み書きするときだけ。消費電力が少ないので、USBメモリーやメモリーカードなどの周辺機器が採用している(図3)。

【同じ危険を持つ周辺機器はこんなにある】
図3 図1のような危険は、USBメモリーに使われている「フラッシュメモリー」の特性によるもの。デジカメ用のメモリーカードなど、フラッシュメモリーを使っている周辺機器は、ほかにもたくさんある
図3 図1のような危険は、USBメモリーに使われている「フラッシュメモリー」の特性によるもの。デジカメ用のメモリーカードなど、フラッシュメモリーを使っている周辺機器は、ほかにもたくさんある
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 ところが、フラッシュメモリーには書き込む回数とデータを保持する期間に上限がある。データを持ち運ぶ用途なら問題ないが、長期保存やハードディスクのような使い方には向かない。

 以下、USBメモリーを例に、フラッシュメモリーの動作を詳しく見ながら、データが消える理由と対策を明らかにしていきたい。