※本特集は、西村あさひ法律事務所の岩瀬ひとみ弁護士、山口勝之弁護士に監修をお願いしました。

 パソコンやインターネットを利用する上で、著作権に関する知識は欠かせない。例えば、パソコンに取り込んだ音楽CDのデータを友人にメールで送ったりすると、著作権法違反になる。

 そもそも著作権とはどのような権利なのか。これを知らないと、うっかり著作者の権利を侵害していたという事態も起こり得る。また、時代によって著作権法は改正が加えられる。従来は合法だった行為も改正後に違法になることがあるので注意が必要だ。

1000万円以下の罰金も

 そこで、まずは著作権の基本と、著作権法の最新動向について説明しよう。

 著作権とは「文芸、学術、美術、音楽などの文化的な創造物を創作した作者(著作者)に対して発生する権利」のこと。著作権が保護する範囲や対象は著作権法で定められており、他人が許可なく著作者の権利を侵害すると著作権法違反となる。

 権利侵害で訴えられて有罪となった場合、個人の罰則は最大で「10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、又はこれらの併科」となる。また、著作権の侵害は、損害賠償請求などの民事訴訟につながる可能性もある。

 著作権の種類は多彩で、大きく2つに分かれる(図1)。1つは、著作者の人格的な利益を保護する「著作者人格権」だ。これには、著作物を公表するかどうかを決める「公表権」、氏名を表示するかなどを決められる「氏名表示権」、著作物の内容やタイトルを他者が勝手に変更することを禁止する「同一性保持権」がある。

●著作権の種類は多彩
図1 著作権は著作者の人格的な利益を保護する「著作者人格権」と、財産的な利益を保護する「著作財産権」の2つに分かれる。他人が勝手に著作物を複製したり(複製権)、勝手に内容を要約したり(翻案権)すると、著作権の侵害に当たる
図1 著作権は著作者の人格的な利益を保護する「著作者人格権」と、財産的な利益を保護する「著作財産権」の2つに分かれる。他人が勝手に著作物を複製したり(複製権)、勝手に内容を要約したり(翻案権)すると、著作権の侵害に当たる
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 もう一方は、著作者の財産的な利益を保護する「著作財産権」だ。他者が勝手に著作物をコピーすることを禁止する「複製権」などがある。著作財産権は譲渡や相続が可能で、国内では原則として著作者の死後50年(映画は70年)間保護される。