今回は、前回の記事の後編です。

 すなわち、自社サービスの顧客、すなわちユーザーへの対応で心がけていること。

「ユーザーの言っていることは、基本的に正しい」という前提で話を聞きます。

 ・・・と言っておきながら何なのですが、WEBサービスを運営していると、ユーザーからの問い合わせやクレームは、意外とユーザーの勘違いによるものが多いこともあります。対面サービスと違ってネットサービスの場合、どれだけ丁寧に説明を明記していても、ユーザーが見ていなかったりして、こちらの意図することが伝わらないことが、よくあるからです。

 ユーザーからクレームが来て慌てて対応しようとしたら、ユーザーが単に勘違いしている。そういうことが度重なると、「あぁ、またユーザーは勘違いしているんだろう・・・」と思いたくなります。でもこう考えながら対応するのと「ユーザーの言っていることは基本的に正しい。やばい!なんとか緊急にこちらが対応しないと!」と思って、対応するのとでは、態度に雲泥の差が出るものです。

 ユーザーが正しいのにもかかわらず、前者のような姿勢で対応する、これほどユーザーにとっては腹が立つことはありません。その場合にはますます問題をこじらせてしまいます。

 ですから、基本姿勢は、「どんなクレームや問い合わせにも、相手が正しいという前提で相手の言っていることや立場を想像して対応する」。これを心掛けるようにしています。そのような視点に立って話を聞くと、問い合わせとは別のところに原因があって生じたクレームであることがわかり、根本的な原因の解決につながったり、単にユーザーの問い合わせが言葉足らずなだけで、クレームではないということに気づいたり、とか、見えなかったことが見えてくるようになります。

 そもそも何が正しいかなんていうのは、誰にもわからないのです。ユーザーにとっては、ユーザーが見えている世界がすべてです。だから、ユーザーにとってはユーザーが正しいということは紛れもない事実なのです。

 「まずユーザーがすべて正しいという前提で、ユーザーの話しを聞くこと。」まずは、この前提条件を、カヤックには数多くの自社サービスがありますが、顧客対応をする担当者には、心掛けてもらっています。

クレームを言う人は大切にしたいと思っていますが、深追いはしません

 たとえば、システムに不具合があったとします。あるいはWebサイトのリンクミスがあったとします。でも、その不具合に対して指摘してくれる人というのは、訪れたユーザーの数に対して、驚くほど少ないことに気づきます。おそらく、WEBサービスを運営しているほとんどの方が、そのように感じていらっしゃるのではないでしょうか。だから、もう随分時間がたっているのに、新しいバグが出てきてなんで今まで気がつかなかったの?なんでこれ今まで放置していたの?なんてことはよくあります。

 つまり、不具合があった時点で、もうユーザーは使ってくれないということであり、わざわざ指摘してまで使おうなんて人は限りなく少ないということだとも言えます。