松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
目次
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1978年の道交法改正がもたらした、自転車と歩行者の危険な混同
前回書いた通り、格安自転車にはさまざまな問題点が存在する。しかし、現実として格安自転車は大量に販売され、多数の人が購入し、利用している。なぜ、問題点の多い格安自転車が、売れているのか。
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格安自転車を使うことで失われる3つの感覚
前回、「良い道具は、使用者に自分の能力が拡張される喜びを与え、また道具を自在に扱う喜びを得た者は、ますます道具にこだわる。」という話を書いた。
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若者のクルマ離れと良い道具について
自動車各社の業績が一気に急降下したことにあわせて、ネットでは、なぜ自動車が売れなくなったかについて、さまざまな意見が出ている。この議論に新しい視点を加えるべく1つの見方を提示しよう。
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政治家の常識と、宇宙の常識について
1998年8月31日、北朝鮮は「テポドン」ミサイルを太平洋に向けて発射した。テポドンは日本上空を飛び越えて太平洋に落下した。「日本の上をミサイルが飛んだ」というニュースに日本中が震撼した。
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ジェミニの頃のランデブー・ドッキング
前回書いたランデブーの法則を思い出してもらいたい。軌道を巡る2機の宇宙船がある。前を行く宇宙船に後ろの宇宙機が追いつくためには地上の常識とは逆に、実際には後ろを行く宇宙機が逆噴射をして減速しなくてはならない。追いつくためにはスピードを落とさなければならないのだった。
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地上の常識では非常識に思える、宇宙の常識
前回、「映画の描く宇宙と、現実の宇宙は違う」という話を書いた。そして、映画の描く宇宙は地上に生きる私たちの“常識”に合わせたものだ、ということも。このことは逆に言えば、宇宙では、地上の常識では非常識に思えることが常識となるということだ。
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映画の描く宇宙
宇宙というのは地上とよっぽど違った場所だ。その違いは、地上の感覚の延長で理解することは出来ない。だが、宇宙を舞台にして映画を作るとなると、その「地上の感覚では推し量ることが出来ない場所」を、観客が納得するように描写しなくてはならない。
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Googleストリートビューがあぶりだす社会統治 その2
前回、警察は社会統治のための暴力代行組織であること、そして私達が警察に寄せている信頼感に法的な裏付けが存在しないことを指摘した。それは、法治国家にとって、実はかなり間の悪い状況である。
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Googleストリートビューがあぶりだす社会統治
Googleストリートビュー、皆さんもう使ってみただろうか。便利だ。これはもう間違いない。これから行きたい場所の地図を表示したら、その場に立っている時に見える風景がそのまま画面に表示される。使い方は工夫次第だが、ともかく初めての場所に行く時にはこれ以上便利なサービスはない。
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生活の中のリスクへの正しい対応とは
子供が、こんにゃくを使ったゼリーを喉に詰まらせて窒息死するという事故が発生し、製造・販売していた食品メーカーはついに販売を中止するという事態になった。今回は、生活の中のリスクについてちょっと考えてみよう。
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ノーベル賞と研究の環境
今年のノーベル物理学賞は、南部陽一郎博士、小林誠博士、益川敏英博士の3人が受賞した、その驚きもさめやらぬ翌日、ノーベル化学賞が発表され、今度は下村脩博士が受賞。マスメディアは「日本人が4人受賞した」と大騒ぎをしている。
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スペンスマルクの壮大な仮説と、銀河系の中に生きる我々
太陽活動が不活発になると、なぜ地球が寒冷化するのか――「太陽か地球に届く熱エネルギーが減れば、地球が冷えるのは当然だろ」。いやいや、そう簡単なことではない。もちろんそれも影響するが、それだけでは説明がつかない。
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太陽黒点が消えた!
天文学の世界では、この8月、ついに太陽表面の黒点がひとつも観測されなかったということが話題になっている。1カ月もの間黒点が消えたのは1913年以来とのことだ。
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本当に役に立つ宇宙ステーションとは?その5
日本が宇宙ステーションを持つためのもっとも重要な条件が見えてくる。それはなにか――「地上からつながった形で技術を保持すること」だ。
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本当に役に立つ宇宙ステーションとは?その4
前回、宇宙ステーションに対する実験側からの要求を見てきたが、計画管理の側からはどうだろうか。有人宇宙ステーションは、かなり大がかりな計画だ。計画管理、英語で言えばプロジェクト・マネジメントを、円滑に進めるにはどうしたらいいのだろうか。また、巨大計画にはよくある、国際協力を成功させるためにはどうすれば…
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本当に役に立つ宇宙ステーションとは?その3
ここまでで、人類の宇宙進出を阻む2つの要因が「宇宙への安い輸送手段が存在しない」と「本当に人間は、宇宙で生きていけるのかよく分かっていない」の2つである、と説明した。「宇宙への安い輸送手段が存在しない」の根本には、「もっと軽くて強い材料が必要」ということがあり、「本当に人間は、宇宙で生きていけるのか…
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本当に役に立つ宇宙ステーションとは?その2
前回に引き続いての、「本当に役に立つ宇宙ステーション」の話。人類の大々的な宇宙進出を拒んでいる要因のひとつが、宇宙への安い輸送手段が存在しないというところまで話をしたので、今回はその続き。
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本当に役に立つ宇宙ステーションとは?
前回、国際宇宙ステーション(ISS)の現状を簡単にまとめてみた。失望した人も多いのではないだろうか。1969年にアポロ11号が月に着陸した当時、宇宙時代という言葉があった。そこには「いずれ自分も宇宙に行けるのではないか」という多くの人々の期待が投影されていたといっていいだろう。
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誰のために宇宙ステーションはある?
第1回で「ぱっとしない」と書いた国際宇宙ステーション(ISS)だが、これまでに日本は、日本モジュール「きぼう」の開発に累積で6800億円も投資してしまっている。運用終了までの経費は1兆円を超える見込みだ。
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さらば水金地火木土天海冥
水金地火木土天海冥という太陽系9惑星が、8惑星になってしまった、という話はかなり多くの人がご存知と思う。2006年8月、チェコのプラハで開催された国際天文学連合 (IAU) 総会は、大激論の末に、冥王星を惑星からはずすことを決定した。冥王星は新たに作られたdwarf planet(準惑星)という区分…