松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
目次
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原子力発電を考える(第14回)電力事業の歴史を追う――発電事始めからアトム・フォー・ピースまで
第7回から第13回まで、7回をかけて東京電力・福島第一原子力発電所で2011年3月11日の東日本大震災に発生した事故とその経過を追跡してきた。各種事故調査報告書によって多少の事実認定の食い違いがあるものの、すべての報告書から読み取れることは、事故といいつつ、福島第一原発で起きたことは、物理的な必然の…
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原子力発電を考える(第13回)福島第一原子力発電所の事故を追跡する――核燃料プールからの危機と、大規模放射性物質放出
1号機、3号機、そして4号機と水素爆発が相次いだことで、これらの原子炉の使用済み核燃料プールが、屋外に露出する事態となった。これらのプールには再臨界を起こしやすい未使用の燃料と、大量の放射性物質を含む使用済み核燃料が保管されている。プールは再臨界を起こさないよう最大限の注意を払って設計しているが、爆…
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原子力発電を考える(第12回)福島第一原子力発電所の事故を追跡する――連鎖した水素爆発、1号機爆発で水素爆発を免れた2号機
前回から引き続き、福島第一原子力発電所3号機が2011年3月12日未明に核燃料を冷却するHPCIの停止から、翌14日午前11時1分の水素爆発までの経緯を追っていくことにする。
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原子力発電を考える(第11回)福島第一原子力発電所の事故を追跡する――ベントから水素爆発へ
前回の記事が公開された7月23日、政府事故調査委員会(委員長:畑村洋太郎・東京大学名誉教授)は最終報告を公表した。これで東京電力福島第一原子力発電所に関する事故調査報告は一通り出そろったことになる。
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原子力発電を考える(第10回)福島第一原子力発電所の事故を追跡する――国会事故調の報告書を読む
7月5日、福島第一原子力発電所の事故に関する国会事故調査委員会が事故調査報告書を公開した。事故原因を日本特有の組織・制度の問題だとした内容が様々な議論を呼んでいる。同時に国会事故調は、ここまで数回にわたって紹介してきた事故の経緯のいくつかの部分について「それは違うのではないか」という疑念を突き付けた…
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原子力発電を考える(第9回) 福島第一原子力発電所の事故を追跡する――最後の防波堤たるICが動作しなかった
6月20日、東京電力の最終事故調査報告書が公開された。内容については、「東電の責任逃れだ」という声が強いが、この連載では、引き続き「誰の責任だ」「誰が悪い」ということを抜きにして、福島第一原子力発電所の事故を経過を追跡する作業を続けていこう。
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原子力発電を考える(第8回) 福島第一原子力発電所の事故を追跡する――津波で電源が失われた
最初に、ちょっと技術とは関係ないことを書こう。東京電力の清水正孝前社長が6月25日付で富士石油の社外取締役に就任するというニュースが流れた。東電は富士石油の筆頭株主。つまり天下りだ。震災時の東京電力経営陣は、責任を取ってほとんどが退任することになっているがそのうち、高津浩明常務が、関連会社である東光…
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原子力発電を考える(第7回) 福島第一原子力発電所の事故を追跡する――事故直前の状態から震災発生へ
ここまでの連載6回分で、原子炉という道具がどんなものであるかを説明してきた。今回からは、2011年3月11日に東京電力福島第一原子力発電所で起きた事故の概要を追っていこう。すでに多くの分析が行われており、皆さんも日々の報道を見聞しているだろう。が、きちんとした知識を持った上で経緯を追っていくと、今ま…
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原子力発電を考える(第6回) ドップラー効果、加圧水型(PWR)と沸騰水型(BWR)
前回からの続きだ。核物質を集めて連続的な核分裂反応を起こす条件、すなわち臨界条件を思い出そう。必要なのは1個のウラン235原子が核分裂反応を起こし、出てくる中性子のうち1個だけが次の核分裂反応を起こすという状況だ。必要なのは十分な濃度・密度のウラン235のような核物質。そして安定して供給される、核物…
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原子力発電を考える(第5回) 臨界と臨界量、即発中性子と遅発中性子
スカッシュという球技をご存知だろうか。四方を壁で囲まれた部屋で、壁に向かってボールを打ち続けるというスポーツだ。そもそもは19世紀、英国の監獄で囚人が暇つぶしに始めた遊びだという。
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原子力発電を考える(第4回) 水素爆発、水蒸気爆発、核爆発
前回までで、2011年3月11日からの数週間に福島第一原子力発電所で実際になにが起こったかを知るための最低限の基礎知識はほぼ説明した。今回は実際に事故の経緯を追っていく前に、原発で実際に起きた爆発について説明していくことにする。
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原子力発電を考える(第3回) 能動安全と受動安全
かつて、西堀栄三郎(1903~1989)という工学者がいた。化学者であり品質管理の専門家だったが、一般には探検家、登山家として知られているだろう。昭和31年の第一次南極越冬隊の隊長を務めた人物である。
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原子力発電を考える(第2回) 崩壊熱と指数・対数
福島第一原子力発電所の原子炉は、沸騰水型(BWR)だ。棒状の核燃料は水に浸かっている。稼働中の原子炉を止めるには、燃料棒の間に中性子を吸収する材質でできた制御棒を押し込む。核分裂反応はウラン235の原子核に中性子がぶつかることで起きる。制御棒が中性子を吸収してしまえば、ウラン235に中性子はぶつから…
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原子力発電を考える (第1回) 初歩の初歩から説明する原子力と原子炉
今回からしばらく、東京電力・福島第一原子力発電所の事故を巡る問題を考えていくことにする。昨年3月11日の東日本大震災に伴う福島第一原子力発電所の事故は、大変ショッキングな出来事だった。事態はいまだ収束にほど遠い。
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Winny無罪判決が示す、教養なき意思決定の不幸
無罪になった!本当によかった!!Winnyの無罪判決のことだ。12月19日、最高裁判所第三小法廷(岡部喜代子裁判長)は、ファイル共有ソフト「Winny」を開発・公開していたことで著作権法違反幇助の容疑で起訴されていた金子勇氏に対して、検察上告を棄却。これにより金子氏の無罪が確定した。
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自転車マナーを守り、利権の代わりの自治を
前回取り上げた警察庁の「自転車は車道走行という原則の徹底」という通達は、さまざまな波紋を広げている。ネットの反応を見ていると否定的な意見が目立つ。「自転車で車道に出るのは死ぬようなもの」「命には代えられないから自分は警察が何を言おうが歩道を走る」「そもそも道路が自転車のためには整備されていないのに、…
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自転車の車道走行を明確化した警察庁の英断
10月25日、警察庁は、「良好な自転車交通秩序の実現のための総合対策の推進について」という通達を出し、「自転車は原則として車道を通行する」ということを徹底する方針を打ち出した。
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社会はタバコをどう扱うべきか
東日本大震災の復興財源として取りざたされていたタバコの増税が取りやめになったようだ。民主党政権が増税案を示したところ、自由民主党と公明党が反対し、国会運営を円滑にしたい民主党が応じたという流れである。代わりに所得税増税が検討されるという。どっちにせよ増税なら、非喫煙者の私としては、「税金ならタバコ…
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共時性と通時性――公共放送としてのNHKの未来
前々回、前回に続いて、公共放送はどうあるべきかを考えていきます。歴史的に見て公共放送の存在意義はどこにあったかを考えてみよう。テレビ放送が始まったのは1953年(昭和28年)2月1日だ。この時代、パブリックな情報伝達手段はラジオ放送のみである。ラジオ放送が始まったのは1925年(大正14年)だから、…
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衛星放送は、公共放送のNHKにとって増収の源だった
1984年1月23日に、種子島宇宙センターから「ゆり2号a」が打ち上げられた。衛星の設計寿命は5年。日本放送協会(NHK)にとっては待望の実用放送が可能な放送衛星だった。
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