松浦晋也「人と技術と情報の界面を探る」
目次
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コンプライアンス強化と「守れる規則」は表裏一体である
まず昔話から。私は1986年に新社会人となり、雑誌記者として働き出した。あのころ、会社の中は、社員でもない人がけっこううろうろしていた。保険の外交員のおばさんがふらっとやってきて机にあめ玉と保険のパンフレットを置いていったり、昼ごろになると清涼飲料水販売のワゴンがごろごろと回ってきたりしていた。
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連載100回記念~もはやポスト冷戦の時代も終わりつつある
今回で当連載は100回となった。2008年3月31日の第1回から5年半、宇宙に電子書籍に自転車に原子力――パソコン情報を扱うPC Onlineで、よくこれだけさまざまな話題を書かせてくれたものだと、編集部の度量の広さに感謝したい。
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問題多い特定機密保護法案~ネット以前の時代錯誤をそのまま体現
10月25日、安倍内閣は特定機密保護法案(特定秘密の保護に関する法律)を閣議決定した。安倍内閣総理大臣は、行政府の長として法案を国会に提出し、成立させると意志表示したわけである。
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原子力発電を考える(最終回)福島第一原子力発電所事故が起きた理由
1年以上続けてきた「原子力発電を考える」最終回です。前回、2009年6月24日、資源エネルギー庁・原子力安全・保安院原子力安全・保安部会・耐震・構造設計小委員会の地震・津波、地質・地盤合同ワーキンググループ第32回会合が、福島第一原子力発電所事故が発生するに当たって、運命の分かれ目となったというとこ…
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原子力発電を考える(第28回)チェルノブイリ原子力発電所事故の概要
1986年4月26日、チェルノブイリ原子力発電所事故が発生した。福島第一原子力発電所の事故の後、チェルノブイリの事故との比較が随分と行われた。が、そもそもチェルノブイリと福島の事故のどこが同じでどこが違うのかのきちんとした解説は、あまり見当たらない。
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原子力発電を考える(第27回)電力事業の歴史を追う――核燃料サイクルの挫折
軽水炉の使用済み核燃料の中ではウラン238からプルトニウム239を生成している。そして、プルトニウム239を核燃料として使用する高速増殖炉は、同時にウラン238からプルトニウム239を生産することができる。
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原子力発電を考える(第26回)電力事業の歴史を追う――新型転換炉と高速増殖炉
原子炉を運転すると、後に使い終えた核燃料が残る。使用済み核燃料には、さまざまな放射性物質が含まれており、それをどう処理するかの道筋は今も確立していない。原子力が「トイレなきマンション」と言われる所以なのだが、そもそも具体的に使用済み核燃料の何が問題で、どうしようとして、今どうなっているのかをきちんと…
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児童ポルノ禁止法改正案は継続審査に/そして、原子力発電を考える(第25回)電力事業の歴史を追う――オイルショック、電源三法、次世代軽水炉
大変妙な連載形態になってしまっているが、前々回から取り上げている児童ポルノ禁止法改正案についてごく手短に。同法案は6月26日に衆議院法務委員会で継続審査となった。今次国会は参院選を控えて荒れており、いくつもの法案が廃案になっている。
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児童ポルノ規制に名を借りた表現規制法案で新たな事実/そして、原子力発電を考える(第24回)電力事業の歴史を追う――東京電力による軽水炉導入
今回は元に戻って原発導入の歴史を追っていくが、その前に前回扱った児童ポルノ規制法案の単純所持規制とマンガ・アニメ規制について補足しておく。
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またも出た、児童ポルノ規制に名を借りた思想・信条の自由への抑圧、法案が衆院提出
2010年3月、「緊急!東京都が児童ポルノ規制の美名の下、思想統制への道を開こうとしている」という記事を書いた。同年11月には「東京都、いまだ思想統制への道をあきらめず、児童ポルノ規制条例の新案提出」で、再度この問題に警鐘を鳴らした。
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原子力発電を考える(第23回)電力事業の歴史を追う――東海発電所、最後までトラブルと高コストに泣く
1957年(昭和32年)11月1日、官2民8の出資比率で、日本原子力発電株式会社が設立された。設立目的は、日本初の実用原子力発電所の建設と運用だった。最初の原子力発電所は、英国から導入するマグノックス炉の技術を使って建設されることになった。マグノックス炉の導入は、早期の実用炉運用に執念を燃やす正力松…
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原子力発電を考える(第22回)電力事業の歴史を追う――日本原子力発電株式会社の設立
まずは若干の補足から。前回、関西電力の常務だった一本松珠璣(いっぽんまつ・たまき)が、当初は米国が開発中だった軽水炉の導入を考えていたと書いた。その後、1955年(昭和30年)に関西電力に対して、米ウェスティングハウス(WH)が1万kW(10MW)級加圧水型原子炉(PWR)の提案書を提出していたとい…
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原子力発電を考える(第21回)電力事業の歴史を追う――一本松珠璣の翻意に見る技術評価の不在
英国の原子力開発は、第二次世界大戦の初期から始まっている。大戦前、フランスではフレデリック・ジョリオ=キュリー(1900~1958)のグループが核分裂反応に関する先進的な研究を行っていた。
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原子力発電を考える(第20回)電力事業の歴史を追う――実用炉導入を加速した正力松太郎
ここで話を一度、第16回で説明した、日本初の原子力関連予算が成立した1954年3月に戻そう。最初の予算で行われたのは、まず原子力関連情報の収集――海外への調査団の派遣と技術文書の購入、そして国としての原子力研究を推進する体制作りだった。
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原子力発電を考える(第19回)電力事業の歴史を追う――PWRと溶融塩炉
アイゼンハワー米大統領による「アトム・フォー・ピース」演説、昭和29年度予算における「札束で横面をたたいた」原子力研究予算の成立、相次ぐ米国の水爆実験と第五福竜丸事件――1953年から54年にかけての世界では、めまぐるしく原子力に関係する事件が起きていた。その中で、米国は強力に原子炉開発を推進してい…
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原子力発電を考える(第18回)電力事業の歴史を追う――放射線障害と肝炎
かなり間を空けてしまいました。申し訳ありません。歴史に踏み込んだことで大量の資料を読み込まねばならなくなったことと、錯綜する歴史的事情を可能な限り簡潔に説明するのに手間取り、2カ月も空白を作ってしまいました。
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原子力発電を考える(第17回)電力事業の歴史を追う――第五福竜丸事件と反核運動の成立
昭和29年(1954年)3月1日から5月14日にかけて、米国は信託統治領の南太平洋・マーシャル群島のビキニ環礁およびエニウェトク環礁において6発の水素爆弾を爆発させる「キャッスル作戦」を実施した。
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原子力発電を考える(第16回)電力事業の歴史を追う――さまざまな関係者、科学者の頬を札束でたたいた予算
1953年12月8日、アイゼンハワー米大統領は、国連総会で行った演説において「アトム・フォー・ピース」という考え方を打ち出した。原子力エネルギーを核爆弾という形で破壊のために使うのではなく、建設的に平和利用しようというものだ。演説中で平和利用の一形態として、原子力発電が挙げられていた。
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原子力発電を考える(第15回)電力事業の歴史を追う――“電力の鬼”が見せた合理性と、日本復興のための思考
日本の敗戦と共に、朝鮮半島は北緯38度線を境に、北はソ連により、南は米国に占領された。その後、北は北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)、南は大韓民国として独立したが、1950年(昭和25年)6月25日、突如、北朝鮮軍が宣戦布告なしに38度線を突破して南側に侵攻した。北朝鮮の金日成主席が中国とソ連の事前…
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2012年秋の電子書籍――ぐだぐだな市場だが利用価値はあり
ずっと原子力発電について書き続けているが、今回は一回お休みをして、やっと日本での展開を開始したアマゾンの電子書籍販売に関連して、思うところを書くことにする。
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