クリエイティブ・コモンズが先週、設立5周年を迎えた。早いものだ。

 ご存知の方も多いと思うが、クリエイティブ・コモンズはスタンフォード大学法律大学院教授のローレンス・レッシグが最初に提唱した組織。アニメーションや映画のキャラクター、有名な小説、テクノロジーなど、本来はオリジナル作者の死後50年経てば著作権が切れ、誰もが自由にその作品を再利用したり、新たな作品の下敷きにしたりできるはずなのに、世界中でその著作権の保護期間がどんどん延長されている。この不条理さに対して、まったく新しいシステムを作ろうとしたものだ。

 有志の作者が自分の作品をクリエイティブ・コモンズに登録すれば、自分が納得のいく著作権のありかたが選べる。作者のクレジットさえ明記されれば再利用はまったく自由というものから、許可を取ればいいというもの、多少の料金が必要というものまで、さまざまな選択肢がある。クリエイティブ・コモンズに参加する人々は、ほとんどが最初のケースを選ぶことが多く、インターネット上の作品などで「CC」マークが付いていれば、これは再利用に対してまったくオープンということを示す場合がほとんどだ。

 先週サンフランシスコで開かれた5周年記念パーティー行ったのだが、おもしろいなあと思ったのは、「CC」マークがついたコンテンツをうまく寄せ集めて、けっこうユニークな売り物になるコンテンツや書籍を作ろうとしている人々がいるということである。日本にもチャットやブログからできた小説があるが、この場合は「CC」コンテンツを独自の視点でアグリゲートする、その視点で勝負しようというもの。これから、さまざまな分野で同じような動きが出てくることだろう。

 非常に無知だったが、クリエイティブ・コモンズには今や科学(サイエンス・コモンズ)や教育(ccラーン)など、特定の目的に的を絞った活動もある。前者は、科学の研究プロセスや成果をオープンにして、科学全体の進歩を加速化し、豊かにしようというもの。後者は大学などの教育機関で使われる教材や授業のビデオなどをオープンにして、インターネットで共有しようというものだ。教材のオープン化についてはMITが数年前から始めているが、この拡大版というところ。

 インターネットの使い方さえマスターすれば、生涯おもしろく学び続け、商売をし続けることができる環境が本当に整ってきたなあと思った次第である。