不適切な数式を立てると、式の問題点を警告するエラーメッセージがセルに表示される。ところが、それらはすべて英語なので、我々日本人にはピンと来ない、謎めいた表示ばかりだ。

 しかしながら、エラーメッセージにはいくつか種類があり、発生の状況に応じて表示内容も異なる。正しく理解して対処すれば、解決の糸口が見えてくるに違いない。

エラーの意味を考えて数式の誤りを適切に修正

 例えば、「#VALUE!」というエラー表示は、直訳すれば「値!」となる。「値の指定に誤りがある」という警告だ。具体的には、「数値」を指定しなければならない数式に「文字」を指定したときに発生する。文字を対象に足し算の式を立てたり、数値を指定する関数に文字を指定すると表示される。

 これとよく似た原因で起こるのが「#NUM!」エラーだ。「NUM」は「number」の略で「数値」の意味。数式に「不適切な数値」を指定すると発生する。よくある例が「小さいほうから○番目」に相当する数値を取り出すSMALL関数でのエラー。対象の数値が3つしかないのに「小さいほうから4番目」を求めようとした場合などだ。

 わかりやすいのは「#DIV/0!」だろう。「DIV」は「割る」という意味の「divide」の略。日本語で言えば「0で割っています!」というエラーである。数学的には、「0で割る」計算は不可能で、許されないもの。そこでエクセルも計算せずにエラーを表示する。

同じく「#NAME?」もわかりやすい。関数の名前や綴りにミスがあるときに、「そんな名前(name)の関数はない」と教えるものだ。

 このほか押さえておきたいのが「#N/A」というエラー。「無効である(Not Available)」という意味で、関数の引数に「空欄」のセルを指定したときなどに起きる。

 修正が大変なのが「#REF!」。これは、数式が参照していたセルが削除され、参照先が消えたときに起きる。例えば「=A1+B1」という式がある状態でB列を削除してしまうと、この式は「=A1+#REF!」と変化して、セルにエラーが表示される。いったんセルを削除すると、参照していた内容がわからなくなるので、後からの修復が難しい。セルを削除するときは、そのセルを参照している式がないかを十分確認しよう。