クレジットカードは便利な支払い方法です。買い物に多額の現金を持ち歩く必要はないし、利用に伴うポイントがもらえますから現金支払いよりもオトクです。その一方で、使い方を間違えると地獄を見るのもまた事実です。

 今回はクレジットカードのリボルビング払い(リボ払い)について計算してみました。リボ払いだとたくさん買い物をした後でも、毎月数千円とか数万円などと、カード会社が決めた小さな金額しか請求されません。カード会社からの請求は通常、銀行口座からの自動引落です。

 リボ払い方式だとカードの年会費が無料だったり割安だったり、あるいはポイントが割り増しされたりする「オトク」なことが多いのでうまく利用しましょう。

 今回計算したカードの設定条件は以下の通りです。金利は年利14.4%で月利1.2%として計算します。もっと金利の高いカードはいくらでもありますから安めの金利といえます。

 カード会社からの請求額はカード利用残高によって変化します。利用残高が5万円以下の場合は月1500円、5万円を超えて10万円までなら月3000円、同様に15万円までなら月4500円と、利用残高が5万円増えるごとに請求額が1500円上がる方式とします。

50回の天国174回の地獄

 さて、このリボ払い方式で毎月3万円ずつ買い物をしていくとどうなるのでしょうか。カード会社の請求は毎月キチンと銀行口座から引き落とされているものとします。その結果が図1です。階段状のグラフが毎月の請求額です。濃い色の部分が元金に相当し、薄墨色の部分が利息相当額です。毎月3万円使っているにもかかわらず、最初のころは請求額が少なく「お支払いラクラク」です。

図1 自動的にリボ払いになるカードで毎月3万円ずつ買い物した状態を20年間にわたって調べた。階段状のグラフが毎月の支払(銀行口座自動引落)額。4年ほどで毎月の支払額が3万円を超える。20年後には借入総額が160万円近くに達する

 ところが4年を過ぎたころには請求額が3万円になってしまいます。使い続けるとあれよあれよという間に増え続け、毎月の請求額は4万円を超えてしまいます。毎月3万円しか使っていないのにこんなに引き落とされたくありません。

 図1の黒い線グラフは利用残高、つまり借入残高です。このグラフは右側の目盛を読みます。請求額が3万円に達したころの残高は約95万円、それ以降も買い物をした額以上の引き落としが続くことになり、20年後の残高は160万円近くまで膨らんでいます。

 さすがに20年間も気付かないはずはないだろうと、請求額が利用額以上になった時点でカードの買い物をやめたのが図2です。計算の結果、その後174回の請求が続きます。請求を累計すると236万円を超えています。86万円以上の利息を含んでいます。金利が高ければ利息はもっと膨らみます。これは地獄です。

図2 毎月の支払額が3万円以上になったらカードを使うのをやめることにした。利用できたのは最初の50回だけ。その後も支払いは174回も続いた。利用した金額は150万円だが、支払額は累計236万円にものぼった

 実はカード会社からの請求額が低めだったために借入残高がかさむ結果になりました。5万円につき請求額月1500円というのは低めですが、世の中にはもっと請求額の低いカードもあります。こうしたカードでは「毎月キチンと引き落とされる」だけではダメです。カードの利用額を考えて、カード会社への支払額を自分で決めておく必要があります。

 もちろんリボ払いでも、カード会社からの請求を大きく設定できる場合もあります。利用残高を毎月全額支払えば1円の利息も支払うことなくオトクな特典だけ享受できるリボカードもあります。この辺の事情を考慮して、賢いカード利用をお願いします。

サンプルファイルの公開は終了しました。