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瀧口範子「シリコンバレー通信」

グーグルが20億ドル以上をつぎ込むgoogle.org

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瀧口 範子=ジャーナリスト 2007/12/06 日経パソコン

 先週はイーベイの創設者が手がけるユニークなフィランソロピー(慈善)活動、オミディアー・ネットワークについて書いたが、グーグル財団およびgoogle.orgもシリコンバレーで起こっている新しいタイプのフィランソロピーである。

 グーグル財団は、検索エンジンのグーグルがIPO(株式公開)後まもなくの2005年に創設したNPO(非営利組織)で、9000万ドルの資金でスタートしている。グーグル財団の活動でよく知られているのは、「Innovate or Die(革新か死か)」とうたわれるコンテストだ。現在募集中のコンテストは、足踏みペダルによる発電機。自転車やミシンのように人力で行う発電装置である。それなりの装置を発明した参加者全員に特製自転車と5000ドルが授与されるらしい。同財団は、これ以外に大学の研究所などに寄付を行っている。

 ただ面白いことに、グーグル財団はすぐさま方向転換して、営利組織に投資を行う「google.org」をスタートさせた。こちらは非営利組織ながら、新興企業へ投資を行い、そこで得られたリターンはまたgoogle.orgへ還元されるという仕組みだ。

 前回紹介したオミディアー・ネットワークと同様、google.orgの投資先は社会起業家が中心である。対象とする領域は、地球温暖化問題、公共医療、開発/貧困問題。2003年以来、元副大統領のアル・ゴアがグーグルのシニア・アドバイザーに就任しているが、最近は特に地球温暖化問題へ力を入れ始め、最近になって再生エネルギーへの投資を拡大することを発表している。

 すでに再生エネルギー関連の新興企業数社に投資を行っているが、さらに風力や太陽光による発電に注力し、数年後にはそうした再生エネルギーが石炭や石油による電力より安価になることを目指しているのだという。

 こうした投資活動以外にも、グーグル自身が中古車を大量に買い込み、エタノール、電力、ガソリンを併用した超高燃費のハイブリッド・エンジンを搭載した自動車の売り上げで儲けを生もうという計画もあるらしい。そのエンジン開発のためにハイブリッド電力の科学者らを新たに雇用しているそうだ。何ともグーグルらしいギークさではないか。このハイブリッド自動車は、1ガロンあたり100マイル、つまり通常の自動車の3倍以上の燃費を目指しているのだという。

 グーグルがこのgoogle.orgにつぎ込んでいる資金は、グーグル株300万株。12月4日時点の価格が1株当たり684ドルなので換算すると20億5200万ドル。これに加えて、グーグル自体の年間利益の1%もチャリテイーに寄付にまわされている。

 google.orgを率いるラリー・ブリリアントという人物が、これまたユニークである。物理学と医学両方の学位を持つ62歳。ただどういうわけか、大学卒業後まもなくインドへ渡って天然痘撲滅運動に参加し、その後長年ヒマラヤのふもとの村に住まい、グルの元で修行。その後シリコンバレーでいくつもの新興企業を創業した。かなりハイブリッドな人材なのである。

 海軍で従軍医師を務め、同時にすさまじくITに関する知識を持っている私の知人も今、このgoogle.orgに関わっている。これからの社会変革を行うには、単一の知識では足りないということかもしれない。

 ちょっと理想主義的ではあるが、グーグルのフィランソロピー活動がどこまで達成するのか。これはシリコンバレーの未来を定義する決め手となるかもしれない。

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