米グーグルは2007年9月13日、宇宙開発を目的とした月面探査コンテストに総額3000万ドル(約35億円)の賞金を出すと発表しました。民間企業がロケットを打ち上げ、ロボット探査機で月面を500メートル以上走り、動画や画像データを地球に送信するとミッション成功。賞金を贈呈するというのです。

 このコンテストは「Google Lunar X PRIZE」と呼ばれ、技術革新を目的とした米国の非営利教育財団X PRIZEと共同で実施します。賞金は2012年末までにミッションを達成すると2000万ドル、2014年末までに達成すれば1500万ドル。準優勝や特別賞にも500万ドルを用意するといいます。 ロケットの打ち上げやロボット探査機を作るための資金は、90%以上が民間出資でなければいけないという規定もあります。

 グーグルは月面探査コンテストのスポンサーになった理由を「宇宙探査の歴史は技術の進歩を牽引してきた。今回のX PRIZEもロボット探査や着陸の制御といった技術の進歩が期待できる」としています。若者が数学、工学、コンピューターサイエンスに興味を持つきっかけになるかもという期待もあります。

 グーグルは、探査チームから受け取った映像をGoogle Lunar X PRIZEのサイト上で公開します。ほかにも、Googleマップと同じように月面の様子が楽しめるGoogle Moonや、Google Earthの機能を使って夜空の天体を眺めることができるSky機能を公開しています。秋の夜長に、パソコン上で天体観測をするのも一興ではないでしょうか。

 これまでグーグルは「世界中のすべての情報を整理して、ユーザーに提供する」という目標を掲げて、さまざまなWebサービスを開発してきました。そうはいっても今回、宇宙開発にまで活動を広げ、35億円も用意するとはちょっと驚きました。

 1年ほど前に米国カリフォルニアのGoogleの本社を訪れたとき、グーグルがどんな分野に進出すべきかを書き込んだホワイトボードがありました。「宇宙ステーション」「人工知能を開発」「Google OSを作る」など冗談のような文字が並んでいましたが、もしかしたらほとんどが本気なのかもしれません。