「NAS」とは、「network attached storage」の略称で、ネットワークに直接つないで利用する記録装置のことです。一般に、LAN端子を装備したHDDのことで、ネットワークの利用に特化した機能を備えるのが特徴です。

 外付け型HDDの場合は、USBやIEEE1394などを経由してファイルをやり取りします。これに対し、NASはLANを経由。そのため、LANにつながったパソコン同士であればファイルを簡単に共有できます(下図)。例えば、デジタルカメラで撮影した写真をNASに保存しておけば、LAN上にある別のパソコンでもその写真を見られるようになります。

NASをLAN内に設置すると、複数のパソコンでファイルを共有できるようになる。最近のNASはUSB端子を備えていて、プリンターやHDDなどの機器を接続すると、接続した機器も共有できる

 NASでこうしたことが可能なのは、その内部にデータの読み書きを制御するCPUや独自のOSが組み込まれているためです。つまり、NASは単体でファイルサーバーとして動作します。一方、外付け型HDDを使って同じことをする場合、そのHDDを接続したパソコンをファイルサーバーに設定して、電源を入れたままにしておく必要があります。

 NASの接続方法は、外付け型HDDと同様に簡単。ルーターやハブのLAN端子につなぐだけです。無線LANに対応したNASもあります。

USB接続の機器も共有

 NASは、ファイルのアクセス権限を設定する機能も持っています。1台のNASで「自分が使うマイフォルダー」「家族で使う共有フォルダー」といった具合に、フォルダーごとにアクセス権を設定可能です。人の目に触れさせたくないファイルも安心して保存できます。

 最近は、LAN端子とは別にUSB端子を備えたNASが増えています。そうした製品では、USB接続の周辺機器をつないで共有化できます。例えば、プリンターをつなげば、複数のパソコンから印刷できるようになります。またNASの空き容量が少なくなった場合には、USB接続の外付けHDDを増設することも可能です。一部の製品は、対応するUSB接続のテレビチューナーを接続すると、テレビ番組をパソコンを介さずNASに直接録画できるものもあります。

 ただ、NASは外付けHDDに比べて高機能な分、値段も張ります。例えば300GBの容量では、外付け型HDDの約1万5000円に対し、NASは約2万~約3万円もします。NASの導入対象は、あくまで複数台のパソコンや複数のユーザーがファイルを共用する環境。個人のスタンドアローン(パソコン1台)環境なら、外付け型HDDで十分です。