もっと多くの漢字を使う

 さて、補助漢字を使えば、JIS漢字にない漢字を5801字も入力できるようになるのだが、補助漢字には大きな“欠点”がある。補助漢字は前回の例に示したような昔の文学作品を入力する際にはかなり役立つが、名前に用いられることが多い漢字に弱いのだ。例えば、「斎藤」の「斎」や「渡辺」の「辺」などの漢字は何十種類もの字形のバラエティーがあることが知られている。これを「異体字」と呼ぶが、補助漢字はもともと、名前でよく使われる異体字は収録対象にしていないため、名簿などの用途には不向きなのだ。

 では、「名簿でお客様の姓名を正しい漢字で入力や印刷したい」といった場合にはどうすればよいだろうか?そんな場合に役立つのが、誰もが無料で利用できる*6「今昔文字鏡」フォントだ。JIS漢字や補助漢字はもとより、最も大規模な漢和辞典である諸橋轍次著『大漢和辞典』(大修館書店)の5万を超える見出し漢字をすべて収録し、さらに中国や台湾などの国内規格で規定されている漢字や現代中国で使われている簡体字までを幅広く収録しており、その数は約12万字という。人名でよく使われる異体字にも対応しているので、名簿作りにも役立つのだ。

*6 無料で利用できる
「文字鏡」には、より高機能な漢字検索ツールやすべてのフォントをCDに収録したパッケージ製品『今昔文字鏡単漢字10万字版』(紀伊國屋書店、2万9400円)、フォントを収録したCDに解説書を添付した『パソコン悠悠漢字術2002』(同、2520円)もある。