無線通信では、複数の機器が同時に通信できるよう、利用する周波数帯域を分割しています。その分割した周波数帯域をチャンネルと呼びます。無線LAN機器を使う場合、電波の届く範囲にある他の機器とチャンネルを分ければ混信が防げます。

 例えば、自宅の無線LAN機器を1 チャンネルに設定したとします。そのときに、隣家でも同じ1チャンネルを使っていると、電波が干渉してしまい、つながりにくくなったり、通信速度が低下したり、といった問題が起きることがあります。そうした場合、電波の混信を避けるために、自宅の無線LAN機器の設定を1チャンネルから変更すればいいのです。

通信に2.4GHz帯を使う11b/gと、5GHz帯を使う11aではチャンネルの構成が異なっている。チャンネルは上図のように無線LANアクセスポイントの設定で変更する

11gは実質3チャンネル

 各チャンネルに割り当てられている周波数は下図の通り。IEEE802. 11b/g方式の無線LANで利用できる周波数帯域は2.4G~2.5GHzです。かつて国内の電波法では、無線LAN 向けに定められた周波数は14チャンネルだけでした。1999年には欧米と共通化するため法律が改正され、11b方式で1~13チャンネルが使えるようになりました。現在主流の11g方式では1~13チャンネルが使えます。

 このように11b/g向けには14のチャンネルが用意されているのですが、混信を完全に避けるためには単に別のチャンネルを選べばいいというわけではありません。

 例えば1チャンネルは、2~5チャンネルが使う周波数帯と一部重複しています。周波数が一部でも重複すると、その部分で電波の干渉が生じます。隣の家が1チャンネルを使っているのであれば、6チャンネル以上のチャンネルを選ぶ必要があるのです。電波が届く範囲で重複しないようにチャンネルを選んでいくと、11g 方式では1、6、11チャンネルの組み合わせのように、3チャンネル分しか選べないことになります。

 これに対して、IEEE802.11aの周波数は、かつて4チャンネルのみでしたが、2005年5月の法改正で、合計8チャンネルが利用できるようになりました。しかも、それぞれのチャンネルで周波数の重複がありません。11b/gで電波の干渉がひどい場合は、11aの無線LAN機器を導入すると改善されるかもしれません。

 なお、最近では周囲の電波を自動検出して最適なチャンネルを選ぶ無線LAN機器も増えています。