エクセルには、ユーザーの操作を補助する仕組みがたくさん用意されている。例えば、計算式は原則「半角文字」で入力する必要があるが、うっかり「全角」で入力しても、自動的に「半角」に変換し、計算してくれる。ところが、この“気遣い”がかえって、ユーザーを混乱させることもある。

ゼロやカッコが消える…、“会計用”の表記法に注意

 例えば、セルに「0001」と入力すると、標準では先頭の「0」が消え「1」とだけ表示される。これは、エクセルが“数値計算”を主な目的とする「表計算ソフト」だからだ。“数値”としての「1」を表すのに、十の位や百の位に「0」を付ける必要はない。計算上は単なる「1」で済む。エクセルにとって、数値は第一に“計算”に使うもの。そこで、余計な「0」を省き、「1」とだけ表示するのだ。

 また、「(1)」のようなカッコ付きの数字を入力したとき、「-1」などとマイナスの数値に変わってしまい、驚くことがある。実はこれにも理由がある。決算書などの会計資料では、マイナスの数値を表すのに「△」記号を使ったり、「( )」で囲んだりするルールがある。データの改ざんを防ぐのが目的だ。そこでエクセルは、カッコで囲った数字を「マイナスの数値」として認識する仕様になっている。表計算ソフトが、米国の会計士たちに絶賛されて普及したという歴史を見ても、こうした会計ルールを優先する仕様は、むしろ当然なのかもしれない。


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