エクセルがいくら高機能だからといって、「カーチェイスができる」と言われて、にわかに信じられるだろうか。もちろん、「マクロ」で作るゲームの話ではない。エクセルで特定の操作をすると、下図のようなゲームが始まるのだ。これは、いわゆる「イースターエッグ」と呼ばれるもの。エクセル本来の機能とは別に用意された、秘密の“お楽しみ機能”である。


ソフトに隠された秘密の“卵”、プログラマーたちの遊び心

 「イースター」とはもともと、キリストが死後3日目に復活したことを祝う祭日「復活祭」のこと。欧米ではこの日、彩色を施したゆで卵(イースターエッグ)を家のあちこちに隠し、子供たちが探すという遊びが催される。これに因んで、ソフトに隠された秘密のメッセージやお楽しみ機能を、「イースターエッグ」と呼ぶ。ソフト開発者の“遊び心”の産物だ。

 実際に、エクセル2000のイースターエッグを試してみよう。

 エクセル2000を起動したら、まず「ファイル」メニューから「Webページとして保存」を選択。「ファイル名を付けて保存」画面が開くので、「選択範囲:シート」を選んで、その下の「対話機能を追加する」にチェックする。デスクトップなど、好きな保存場所を指定して「保存」ボタンを押すと、「Page.htm」というHTMLファイルが作成される。

 続いて、できた「Page.htm」のアイコンをダブルクリックし、ファイルを開く。すると、インターネット・エクスプローラ(IE)が起動して、その中にエクセルのワークシートが表示される。シートをスクロールして2000行まで移動し、2000行目の行番号をクリック。行全体が選択されたら、そのまま「Tab」キーを押して、「WC2000」のセルまで移動する。最後に、「Ctrl」「Shift」「Alt」の3つのキーを押しながら、シート左上にあるオフィスマークをクリック。すると、画面全体がハイウェイに早変わりし、カーチェイスのスタートだ。


 操作は、「↑」キーがアクセルで「↓」キーがブレーキ。左右の矢印キーがハンドルとなる。スペースキーで“バルカン砲”を発射したり、「O」キーでオイルを流せば、前後の車への“攻撃”も可能。夜間は「H」キーでヘッドライトを点灯する。「Esc」キーで終了だ。

 なかなか楽めるゲームだが、よく見ると、道路上にはソフト開発者の名前が…。普段は裏方に徹している開発者の顔が、こんなところに見え隠れしているのである。

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