2足歩行ロボット大会「KHR 3rd アニバーサリー」の様子をお伝えするレポートの後編では、2日目のサッカー大会を紹介する。1日目の格闘競技に引き続き、2日目も筆者は選手として大会に参加した。

 近藤科学はロボットのサッカー大会「KONDO CUP」を定期的に開催しており、今回で第5回目となる。幅4m50cmのコート内で、1チーム3台で対戦する。前半5分、後半5分(予選リーグは4分)でお互いのチームがゴールを奪い合う。

 今回の参加は全21チーム。近藤科学のロボットキットKHRシリーズで参加できるKHRクラスが7チーム、ROBO-ONEなどに参戦している完全な自作ロボットが参加するオープンクラスが6チーム、学生が参加する学校対抗クラスが8チームである。それぞれのクラスを2つに分けて、リーグ戦をする。リーグ内で最も高い勝ち点を上げたチームが決勝戦をする。

60台以上ものロボットが集まり、サッカー競技に参加した

東京・秋葉原の再開発で建設されたUDXビルの多目的スペースにて開催された

 筆者が参加したのはKHRクラス。3人のメンバーでチームを組めばチーム参加として登録できるが、筆者の場合、寂しいことに周囲にKHRシリーズを持っている知り合いを集めることができなかった。ただし、個人参加として登録すれば、同じく個人参加した参加者と、主催者が即席チームを組んでくれる。

 当日、チームを組んでいただいたのは、はるばる名古屋から参戦の酉旦那(とりだんな)氏。もう一人は、人数合わせのための近藤科学の助っ人であるヒロノブ氏。当日、少し遅刻してしまったので、運営の方に「すぐにチーム名を決めてください」と怒られた。いいアイデアがなかなか思い浮かばなかったので、筆者の名前と酉旦那氏が勤務する会社名を組み合わせた「松ワールド」という、いい加減なチーム名になってしまった。

 しばらくして松ワールドチームの名前が張り出されたAリーグの表を見ると、無敗の最強ロボットチームとして知られる「RFCバンブーブリッジ」の名前もあった。バンブーブリッジは、第1回KONDO CUPから第4回まで優勝し続けているばかりか、これまで公式戦では無敗かつ無失点の記録を継続しているのである。勝つことは難しいが、同じ性能のロボットで対戦する以上、望みがないとはいえない。

 1回目の試合は、大阪から参戦の「ギヤードキッカーズ」。大阪のロボット大会「ロボファイト」を運営している岩氏が率いるチームである。相手の3台は迷彩服のユニフォームで統一しており、なにやら威圧感がある。試合はどちらも決め手に欠け、0対0の引き分けで終了した。

 2回目の対戦相手は、前日も格闘戦で対戦したホリ・ワン、ホリ・ツーが所属する「ミステークス」。格闘戦でも苦しめられた腕を振り上げながら突っ込んでくる横歩きは健在。素早い横歩きでけん制してくるため、攻めにくかったものの、前半に相手のゴール前が開いたところでうまくシュートを決めることができた。その後、後半戦は何度も攻め込まれたものの自ゴール前で腕を突き出した横歩きが、ゴールキーパーをしていた助っ人ヒロノブ氏の機体と接触し、キーパーチャージの判定でイエローカードが相手チームに出された。その後、筆者の機体にも同じように手が当たって転倒。ついにレッドカードが提示されホリ・ツーが退場となってしまった。試合はそのまま終了し、1対0でなんとか勝利できた。

 3戦目はいよいよRFCバンブーブリッジとの対戦となった。バンブーブリッジもこの時点で1勝1分け。万が一、勝利できれば決勝進出できるという臨みもある。わずかな望みをかけて試合に臨んだが、やはりその強さに圧倒されることとなった。とにかくパスワークがすごい。パスを出す場所に的確にメンバーが待機しており、見事にボールを拾うのだ。キーパーもチャンスとあれば、相手コートまで上がってサポートする。お互いの役割分担が確実にできている。前半だけで、2点を奪われた。

 後半に入り、ハプニングが発生。筆者の機体が倒れた直後に電源が完全にOFFになってしまったのだ。どうやらバッテリーの端子の接触が悪かったようだ。急いでバッテリーの端子を挿し直して、コートに復帰。酉旦那氏とヒロノブ氏は2台でゴールを守っていてくれていた。復帰直後、ボールはコート中央に流れていた。相手キーパーが蹴ってきたボールを受け止めて蹴り返すと、その先には酉旦那氏の機体がゴールへ向けて進んでいた。そのまま丁寧にボールを押し込んでゴール。なんとバンブーブリッジの無失点記録を破ったのである。そのまま試合は1対2で負けたものの、あの強豪相手によくぞここまでと、今日組んだばかりのチームメイトと健闘をたたえ合ったのである。

【最強チームの無失点記録を破った】
最強チームRFCバンブーブリッジから奇跡的に1点を奪うことができた

 次ページではKHRクラス決勝の様子を動画付きでレポートする。