エクセルは「シリアル値」と呼ばれる特別な数値を使って、日付を管理している。シリアル値は、「1900年1月1日」を「1」とする連続した数値で、「1日」で「1」ずつ増加する。1日分を「1」とする“通し番号”で日付を管理することで、「7」を足せば「7日後」、「10」を引けば「10日前」の日付が簡単に計算できる仕組みになっている。


1900年は「うるう年」? シリアル値に潜む“幻”の1日

 便利な「シリアル値」だが、詳しく見てみると、奇妙な点に気付く。「1900年2月25日」という日付を入力し、そのセルの右下隅をドラグしてみよう。オートフィル機能により、「2月26日」「2月27日」…と、続く日付が自動入力されていく。「2月28日」の次に入力された日付に注目してほしい。「1900年2月29日」となっているはずだ。問題はここ。暦によれば、現実の1900年は「うるう年」ではない。「2月29日」は存在しなかったのだ。

 そもそも「うるう年」とは、地球の公転周期と暦のズレを調整するために考え出された制度。通常の暦では、1年を「365日」としているが、実際の地球は「365日と約5時間48分46秒」かけて公転している。そこで、4年に1度「2月29日」を作り、ズレを補正しているのだが、これだけではズレを完全に直せない。そのため、現在使われている「グレゴリオ暦」では、「4年に1度」という「うるう年」のルールに、次のような“例外”を定めている。

(1)西暦年が「100」で割り切れる場合はうるう年としない
(2)ただし、「400」で割り切れる場合はうるう年とする

 つまり、「1900年」は(1)の例外に該当し、うるう年とはならないわけだ。ではなぜエクセルのシリアル値には、「1900年2月29日」という“実在しない1日”が存在するのだろうか。


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