現在主流のリチウムイオン電池は、少し前までこれ以上の容量アップは難しいとされていた。ただし、2004年から2005年にかけて三洋電機や松下電池工業、ソニーが正極や負極の材料を工夫した改良版を発表。これにより、今後も年率1割程度の容量向上が見込めるという。

負極の素材を変更したことにより、従来に比べて3割ほど容量を向上したソニー製品

 NECは小型で高出力といった特徴を持つ有機ラジカル電池を開発。デスクトップパソコン用の非常用電源や、ウェアラブルPCの電源としての利用を想定する。

NECが開発した折りたためる有機ラジカル電池。極薄ながら高出力で、30秒で充電が済む

 次世代の電池として期待されているのが燃料電池だ。燃料電池は主にメタノールを燃料にしている。「メタノールが持つエネルギー密度はリチウムイオンの10倍以上」(東芝)といわれる。燃料を継ぎ足す限り、充電しなくてもすぐに発電を継続できる点も特徴だ。

 これまでは制度上の問題で実用品が出回ることが少なかったが、「このまま順調に行けば2007年1月に規制の問題はほぼクリアできる」(資源エネルギー庁)という。ただ、燃料が入ったカートリッジはメーカー間で統一されておらず、どうやって流通させるかや、価格設定をどうするかなどといった問題を抱える。

東芝の試作機。奥にあるのがメタノール燃料を入れたカートリッジ。小型化も十分可能という