ちまたでは、HD DVDやBlu-rayDiscといった次世代DVDが何かと話題を集めている。しかし実態は、記録型DVDが一般家庭に普及してきたところ。現行DVDのことを差し置いて、次世代は語れない。しっかりDVDの基本を押さえてから、次世代ディスクに目を向けてみよう。

レーザー照射で“焼く”

 DVDディスクは、データ読み出し専用のDVD-ROMのほかに、書き込み可能なディスクが7種類ある(下表)。書き込み可能なディスクはいずれも、ドライブがディスクに対してレーザー光を照射し、記録層の色素を分解したり、材料の結晶状態を変化させたりしてデータを記録する。レーザーを使って記録面を変化させることから、データの記録を“焼く”と呼ぶこともある。

 DVDディスクは高密度でデータを記録している。データの記録幅(トラックピッチ)は、DVD-R ディスクで0.74μm(マイクロメートル、1μmは100万分の1m)。直径12cmディスクの0.74μm幅は、1000倍して考えると、120mの甲子園球場では0.74mm幅に相当する。DVDでは、球場内の0.74mm幅に砂つぶを置いたり(記録)、探したり(再生)する緻密(ちみつ)な作業が行われているのだ。

書き込み可能なDVDディスクは7種類と複雑。けれどもユーザーの多くは、価格の安いDVD-Rを利用している。8.5GBの容量を持つ2層ディスクは、割高なため普及が進んでいない

 HDDと同様に精密な機器であるDVDは、当然ながら書き込み中の衝撃に弱い。加えてディスクの記録層は熱変化するため、高温の場所に放置しておくとディスクは壊れてしまう。真夏の車中や、日当たりの良い窓際にディスクを長時間放置することは絶対に避けよう。なお海外製の格安ディスクの一部には、記録品質の悪いものもある。品質を求めるなら、製品パッケージの裏に国内製と書かれているディスクを選ぶ方が安心度は高い。

 次にデータを書き込める7種類のDVDをおさらいしておこう。データの消去ができて何度でも使えるのは、DVD-RW、DVD+RW、DVD-RAM。ただし、一般的に使われているのは、1枚70円から購入できる1回書き込みのDVD-Rだ。記録容量は片面記録だと4.7GBで、地上アナログ放送を標準画質(4M~5Mbps)で録画した場合、約2時間分の映像が記録できる。8.5GBの容量を持つ2層記録ディスク(DVD-R DLとDVD+R DL)もあるが、一層のDVD-RやDVD+Rに比べて割高になるため、普及するには至っていない。