パソコンではWindowsやMacOS、LinuxなどのOSが使われている。OSは「Operating System」の略語。日本語ではその働きから基本ソフトウエアと呼ばれることが多い。

 OSがなぜ基本ソフトウエアと呼ばれるのかは、下図を見れば一目で分かる。パソコンの本体であるハードウエア、ユーザーに対してさまざまな機能を提供するソフトウエア、そしてユーザー。この3つの要素を結びつけ、パソコン全体を制御するソフトがOSなのだ。

すべてのソフトが利用するメモリー管理やファイル管理、ネットワーク機能などはOSが提供し、ユーザーごとに必要な機能は各アプリケーションが担当する。また、ハードの違いをOSで吸収するため、後から新しいハードが登場しても対応しやすい

 OSはメモリー管理やファイル管理、ユーザーインタフェースの提供、ハードウエアごとの違いを吸収するといった役割を果たすソフトウエアとして定義されてきた。しかし現在のOSは、ソフトウエアを動作させるための共通基盤という役割が大きくなっている。例えば、ソフトウエア間でデータをやり取りしたり、グラフィックス機能を制御したり、インターネットにアクセスするといった機能を個々のソフトウエアに提供している。

 同様の目的でパソコン以外の機器にもOSが搭載されている。例えば最近の携帯電話では、Symbian OSやLinuxなどの汎用OSを搭載し、その上でメールやWebブラウザーなどのソフトを動かす機種が増えている。

環境変化へ対応するOS

 OSに求められる機能は、パソコンの進化とともに変化してきた。顕著なのはネットワーク関連機能。Windowsは新版が出るごとに、標準対応する機能を増やしてきた。インターネット標準プロトコルのTCP/IPがサポートされたのはWindows 95。Internet Explorerが付属したのはWindows 95のOSR2(メーカー向けに供給されるバージョン)だった。Windows XPで追加されたのは無線LANのサポートだ。

 Windows XPの発売から5年が過ぎ、CPUはPentium IIIからCore 2 Duoまで進化し、大容量のメモリーやHDDが標準で搭載されるようになった。ネットを通じたコンテンツ配信も一般的になり、セキュリティ対策への要望は高まる一方だ。こうした環境の変化に対応するため、2007年にはWindows Vistaが登場する(下図)。

Windows XP発売の2001年以降、CPUやHDD、周辺機器などの性能は大きく向上している。そうした機能をフル活用させたり、ブロードバンド環境でのサービスを楽しむために新しいOSが必要となる