プロのスポーツマンは道具に細心の注意を払う。野球であれば、バットの重さや重心、振ったときの感触を細かくチェックする。同様に、パソコンユーザーであれば、手の延長ともいえるキーボードやマウスは自分に合った製品を選びたい。付属品で満足できることもあるが、より使いやすい入力機器を貪欲に求める姿勢も大切だ。

結局は好みなのだが…

 キーボード選びで一番重要なのは打ちやすさ。打ちやすさはいったい、製品のどの部分の作りで変わるのだろうか。それを調べてみた。

 まずはキーを押したときの感触、すなわちキータッチを考えてみる。キータッチは、キーの下にあるスイッチの構造で変わる。最も一般的なデスクトップ用のキーボードは、メンブレン方式のスイッチを採用している(下図)。この方式では、キーの下にゴム製のカップがあり、キーを押すとそれがぐにゃりと変形して、入力を判断する接点に触れる。当然、キータッチはゴムの形状や弾力で異なる。

 押した感触をしっかり味わえる硬い感触を好む人がいれば、軽いタッチで入力できる柔らかい感触を好む人もいる。さらにカチャカチャと鳴る打鍵音を気にする人も。打ちやすさに関しては、自分で実際に打ってみないと分からない。好みで大きく異なるからだ。

 製品数こそ少ないが、メンブレン方式以外のキーボードもある。メカニカルスイッチ方式と無接点静電容量スイッチ方式だ。前者は金属板とバネで構成されていて、しっかりとしたキータッチと歯切れの良い打鍵音が特徴的。後者はラバーカップ内の静電容量変化を検知して入力を判断する。接点がないため耐久性が高く、キータッチが軽い。

 ノートパソコンと同じ軽いタッチで入力したい人は、パンタグラフ方式のキーボードが良いだろう(下図)。ノートパソコンの多くがこの方式を採用。デスクトップ向けの製品も発売されている。各キーをX型のパンタグラフとラバーカップで支える構造になっており、軽いタッチで素早い入力を可能にしている。

 キーボードに関しては、飲み物をこぼして壊れてしまうトラブルをよく耳にする。キーボードの内部に飲み物が流れ込んでショート(短絡)したり、糖分が固まってキー入力を判別しなくなる。底面に穴を開けて飲料を外に逃がす工夫をしたキーボードもあるが、基本的に濡れた場合は、あわてずにパソコンの電源を落としてショートを防ぎ、完全乾燥させて動かしてみよう。運が良ければ動作するかもしれない。