パソコンを介してやりとりされるメールはどのように相手に届くのだろうか。これは実際の手紙と比較してみると分かりやすい。手紙の場合は、書いた手紙をポストに投函すると、郵便局が住所を見て、送付先の郵便受けに手紙を配達してくれる。あとは、相手が郵便受けからその手紙を取り出せば、無事に手紙を読んでもらえることになる。

 メールの場合は次のようになる。まず、自分が書いたメールは、Outlook Expressなどのメール送受信ソフト(メールソフト)から、メール送信サーバーに送られる。メール送信サーバーは、契約しているプロバイダーが管理しているサーバーだ(会社の場合はその会社が管理していることもある)。これは、ちょうど郵便ポストに手紙を投函し、配達員が回収して郵便局へ持ち帰る作業に相当する。

 メール送信サーバーは、あて先のメールアドレスを基に、相手先のメール受信サーバーにそのメールを送信する。これは郵便局が住所を基に、相手の郵便受けに手紙を届けるのと同じだ。相手のメール受信サーバーに届いたメールは、相手がメールソフトを使ってとりに行く。これは相手に、郵便受けから手紙を取ってもらうことに相当する。

【メールはこうして運ばれる】
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 ここまでが、非常に簡単なメールのやりとりの流れだ。ここからはもう少し具体的に、専門用語を使いながらメールのやり取りについて紹介していこう。ここで出てくる用語を理解すれば、メールソフトの設定方法やちょっとしてトラブルにも、勘が働くようになるので、ぜひ理解してもらいたい。

対話形式で通信を進める

 まず、自分のパソコンからメールをメール送信サーバーに送るときには「SMTP(Simple Mail Transfer Protocol)」と呼ばれるプロトコルが使われる。プロトコルとは通信手順のこと。聞きなれない単語だが、通信の仕組みを説明するときには必ず出てくる単語なので、ぜひ知っておいてもらいたい。人間同士が会話をするときに、お互いが英語と日本語をしゃべっていては、意思の疎通ができないのと同様に、コンピューター同士でもデータをやり取りするときに双方が理解できる言語や文法を使う必要がある(プロトコルを合わせる必要がある)。メールを送るときに使われるプロトコルが、SMTPと呼ばれるものなのである。

 SMTPを使って、パソコンがメール送信サーバーにメールを渡す手順を簡単に紹介しよう(下図)。パソコンはメール送信サーバーの25番ポートにアクセスする。ポートとはサーバー内で動いているアプリケーションソフトを区別するために使う番号のこと(詳細は75ページを参照)。一般的にサーバーの中にはメール送信用アプリケーションだけでなく、さまざまなアプリケーションが動いているので、それを区別するためにポート番号が用いられる。メール送信用アプリケーションは一般的に25番が使われるのだ。

 ここで、SMTPというプロトコルの手順にしたがって、あいさつ(接続の開始)をし、自分の名前(メールアドレス)を名乗り、送信先のアドレスを送る。このあとに、メールの本文などをメール送信サーバーに送るのである。本文の送信が終わればメールの送信は完了だ。

【メール送信の前に確認作業をする】
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