Internet Explorer 7(IE7)には、ページの拡大表示機能が加わった。これまでも文字の拡大表示は可能だったが、IE7では画像なども含めてページ全体を拡大できる。小さな字が見づらいユーザーにとっては便利な機能だ。

 しかし現時点では、この機能にきちんと対応していないWebサイトが多い。頻繁に見かける不具合は、大きく3つある。まず、文字と画像が重なって表示される現象。文字の一部が隠れてしまい読めなくなるため、影響は大きい。

「New」という画像が、文字と重なって表示されている

 2つ目は、複数の項目が横並びでリスト状に表示されている場合、レイアウトが崩れる現象だ。例えば企業サイトの上部で、「会社情報|製品情報|お問い合わせ」などと記載されているような場合に見られる。文字の上に縦線が重なったり、文字と文字が重なったりして読みにくくなる。

項目を横に並べて表示しているページを拡大すると、区切りを示す縦線が文字に重なってしまうなどの不具合が見られることがある

 3つ目は、Flashコンテンツが拡大されないという問題。企業のWebサイトでは、トップページの画面中央に華やかなFlashコンテンツを表示させて自社をアピールするものが少なくない。Flashコンテンツを固定幅で作成していると、拡大機能を利用してもFlash部分だけ元のサイズのままになってしまう。

 多くのWebサイトで、これらの現象のいずれかが見られる。試しに、複数のWebサイトを拡大機能で表示し、チェックしてみた。対象にしたのは、日経パソコンが2006年に実施した、Webサイトの使いやすさ(ユーザビリティ)を調べる調査「企業サイトユーザービリティランキング」で上位20位に入った企業。チェックの結果、およそ半数で何らかの問題が見られた。Webサイトのユーザビリティ対策に力を入れている企業ですらこのような状況なので、他のWebサイトにも問題があるだろうことは想像に難くない。拡大表示は、ユーザーによっては常時使用する機能になりそうなだけに、迅速な対応が求められる。

 ただし、Webサイト側での対処は手間がかかる。富士通はVista搭載パソコンの出荷前にすべての対応を済ませたが、作業はかなり難航したという。Vistaの拡大機能がCSSをどのように処理しているかがはっきりと分からないためだ。富士通も「原因は一つではなく、さまざまな要因が重なって不具合が発生する。解決策は、試行錯誤する中で偶然に近い方法で見つけた」という。