日経パソコン2006年10月9日号に掲載した特集「パソコン法律クイズ」をネットで解答できるよう公開しました。何かとお騒がせの法律前編何かとお騒がせの法律後編気になる著作権前編をまだ解いていない人は、そちらもぜひ、挑戦してみてください。

 なお、各設問番号は日経パソコン掲載時のものから修正しています。また設問内容は2006年10月時点の内容となりますのでご了承ください。

 正解は3つの選択肢のいずれかです。4つめの選択肢である「(4)答えが分からない」は不正解として扱われます。自分の知識を正確に把握したい場合にご利用ください。

Q1 共有百科の著作権は?

 ネットの著作権で気がかりなのが、みんなで書き込んで作るWebサイト。最近では、ブログ感覚で多くのユーザーが自由に書き込める知識共有型の百科事典サイト「Wikipedia(ウィキペディア)」が有名です。では、ここに投稿された記事の著作権についてご存じでしょうか?正しいものを選んでください。


(1)Wikipediaを運営している非営利団体「ウィキメディア財団」に帰属する
(2)個々のユーザーが、それぞれ自分の記述した部分について著作権を留保する
(3)著作権は放棄されたものとみなし、誰でも利用可能な公共の文書として扱う
(4)答えが分からない
各ユーザーが自由に書き込み、編集できる共有百科事典サイト「Wikipedia」

Q2 何のホテル事件?

 著作権の考え方を示した有名な裁判に「ホテル・ジャンキーズ事件」があります。著作権を侵害した被告が権利者に訴えられ、損害賠償の支払いなどを命じられた事件です。このホテル・ジャンキーズ事件の説明として正しい記述を、以下の中から選んでください。


(1)アマチュアバンド「ホテル・ジャンキーズ」が、JASRACに無断で生バンドの演奏をして、JASRACに訴えられて損害賠償を支払った事件
(2)「ホテル・ジャンキーズ」という掲示板の運営者が、掲示板の内容を利用者に無断で出版し、利用者に訴えられて損害賠償を支払った事件
(3)テレビ番組を1週間分録画できるサーバーを設置してホテルの客室に配信し、放送局に訴えられた事件
(4)答えが分からない

Q3 作者以外にも権利がある?

 音楽や演劇の場合、作品を作った作詞・作曲家や劇作家が著作権を持っています。ただし、著作権法では演奏家や俳優などの実演家に加え、レコード会社やテレビ局にも著作権に関連する「著作隣接権」という権利を与えています。では、以下の中で著作隣接権に該当しないものはどれでしょうか。


(1)レコードなどを複製する「複製権」
(2)映画やテレビ番組などをインターネットで配信する「送信可能化権」
(3)著作物を広く一般に公表するかしないかを決められる「公表権」
(4)答えが分からない

Q4 JASRACさんお願い!

 個人で最新のヒット曲を紹介するホームページを作成しました。曲の紹介と一緒にどんな曲か聴いてもらえるように、ホームページ上で市販の音楽CDの収録曲を配信したいと思います。その際の法的取り扱いについて、正しいものを選んでください。


(1)番組にコピープロテクト信号をかければ可能
(2)JASRACに所定の使用料を支払えば可能
(3)個人の場合、JASRACに使用料を支払っても現時点では事実上不可能
(4)答えが分からない

---まめ知識--- JASRACってよく聞くけど……

 日本音楽著作権協会(JASRAC、ジャスラック)は、音楽業界の関係者が集まって1939年に設立された社団法人です。テレビやラジオ、レンタルCD、ネット音楽配信などで音楽作品の利用申請を受け付けたり、無許可での利用を取り締まったりするのを、個々の音楽家やレコード会社が自力でこなすのは困難です。そこで著作権の管理をJASRACに委託し、JASRACが手続きや使用料徴収などを代行します。

Q5 で、1曲いくらなの?

 JASRACは2006年6月1日に、ポッドキャスティングなどの「音声番組」によるダウンロード配信サービスにおいて、市販の音楽CDを利用するための許諾を開始しました。では、再生期限に制限がなく、ダウンロード料や広告収入がない場合、音楽使用料はいくらに設定されているでしょうか。


(1)「1番組が1ダウンロードされるたびに5.5円」または「2.7円×番組で使った曲数」の金額が多い方
(2)1曲公開するたびに年間1000円
(3)「年額4万円」または「1000円×年間公開曲数」の金額の少ない方
(4)答えが分からない

---まめ知識--- ポッドキャスティングとは?

 ネット上に公開された音声データや動画データを専用ソフトが自動的に収集し、携帯音楽プレーヤーなどに転送して楽しむ音声・動画配信システムです。ブログを使って個人でも音声や動画を簡単に公開できることから、手軽な個人放送局としても利用されています。言葉の由来は米アップルコンピュータが販売する携帯音楽プレーヤーの「iPod」と、放送を意味する「broadcasting」を掛け合わせた造語です。

Q6 CCCDまだやってるの?

 「コピーコントロールCD(CCCD)」をパソコンに取り込もうとして失敗したことはありませんか?これは、音楽の不正コピーを防ぐためのプロテクト技術です。以下のレコード会社(カッコ内は主な所属アーティスト)のCCCDへの取り組みについて正しい記述はどれでしょう。

  • ソニー・ミュージックエンタテインメント(中島美嘉、郷ひろみ)
  • 東芝EMI(宇多田ヒカル、松任谷由実)
  • エイベックス(浜崎あゆみ、倖田來未)


(1)3社ともCCCDを積極的に採用しており、今後も続ける方針
(2)3社ともCCCDの採用には消極的で、今後は全廃する方針
(3)CCCDの採用を続ける会社もあれば、全廃する方針の会社もあり、足並みは必ずしもそろっていない
(4) 答えが分からない

Q7 異論、反論!CCCD

 iPodなどの携帯音楽プレーヤーに音楽ファイルを転送したり、個人で楽しむCD-Rを作成したりする目的で、CCCDの収録曲を私的複製する行為の違法性については、さまざまな議論があります。では、CCCDを私的複製する行為を違法ではないとする以下の主張のうち、有力な根拠になっているものはどれでしょうか。


(1)そもそもCCCDは、著作権法で規定されている「技術的保護手段」を満たしていない
(2)著作権法30条は冒頭で私的複製を認めており、付帯事項にすぎない技術的保護手段の回避禁止より優先される
(3)CCCDは音楽CD規格に準拠していないため、著作権法の保護対象から除外される
(4) 答えが分からない

Q8 お金がかからないのはどれ?

 デジタルでの録音・録画が可能な機器や、そうした機器に使われるテープやディスクなどの媒体には、1台または1枚ごとに一定額の「私的録音録画補償金」が課せられており、ユーザーが機器や媒体を買うときに、製品価格に補償金が含まれています。例えばDVDレコーダーやDAT、D-VHSなどが対象になっています。次に挙げた機器のうち、私的録音録画補償金の対象になっている機器はどれでしょう。


(1)業務用のMDレコーダー
(2)民生用のMDレコーダー
(3)HDD内蔵型のiPod
(4) 答えが分からない
音楽を聴くだけならどれも同じ?