「Windows ReadyDrive」と同じく、フラッシュメモリーを使ってパソコンの処理能力を向上させようというのが「Windows ReadyBoost」だ。こちらはフラッシュメモリー内蔵ハードディスクを備えていないパソコンでも利用できる。

 Windowsではメインメモリーの容量が足りなくなった場合に、HDDの一部を仮想メモリーとして扱い、使っていないデータを退避させる。このやり取りをスワップ、退避されるデータをスワップファイルという。

 ReadyBoostは、パソコンに挿し込んだフラッシュメモリーが仮想メモリーと同じように働く仕組みだ。具体的には、メインメモリーから退避されたデータ(スワップファイル)をHDD(仮想メモリー)に移すときに、フラッシュメモリーにもそのコピーを置く。このためフラッシュメモリーを突然引き抜いても、データが失われることはない。

【パソコンに装着したフラッシュメモリーから素早く読み出し】
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【使用する領域を変更できる】
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 スワップファイルをメインメモリーに戻す際には、フラッシュメモリーから読み出した方がHDDにアクセスするより時間がかからない。さらに、ReadyBoostでフラッシュメモリー上にどういったデータを優先的に置くかは、ReadyDriveの場合と同じく「Windows SuperFetch」のデータベースにより決める。複数のソフトウエアを立ち上げて、頻繁にスワップが起こるなどの状況下でReadyBoostを使えば、パソコンの反応速度向上が見込める。

 もっとも、「ReadyBoostは2.5インチ以下のHDDを搭載し、メインメモリーの増設ができないやや古いノートパソコン向けの機能」(マイクロソフト)。つまり最新の3.5インチHDDと潤沢なメインメモリーを積んだデスクトップパソコンには、特に必要というわけではない。

 USB 2.0に対応したUSBフラッシュメモリーだけでなく、SDメモリーカードやコンパクトフラッシュなど、ほかのフラッシュメモリー採用製品もReadyBoostで利用できる見通しだ。ただし、空き容量が256MB以上あり、一定以上の速度でアクセス(*1)が可能なフラッシュメモリーである必要がある。パソコンにフラッシュメモリーを挿し込むと、Windows Vistaが自動で空き容量やアクセス速度を測り、ReadyBoostに利用可能か否かを判定してくれる。

 なお、VistaにはReadyBoostの設定項目が追加され、キャッシュとして利用する領域の大きさを変えることが可能だ。

*1 4KB単位のランダム読み出し速度が2.5MB/秒、512KB単位のランダム書き込み速度が1.75MB/秒

*2 この機能を利用するには、対応するハードウエアが必要です