パソコンで動作するソフトウエアの中には、ユーザーが特に操作をしなくても、メモリーに常駐してバックグラウンドで動作するものが数多くある。例えばデスクトップ検索ツールのインデックス作成機能や、ウイルス対策ソフトの常時監視機能などだ。

 こうしたバックグラウンドで動くソフトウエアのために、体感上のパソコン性能が落ちたとユーザーに感じさせないよう、Windows Vistaでは新しく「Low-Priority I/O(優先度の低いI/O)」という仕組みを導入している。

 Windows XPでは、各ソフトウエアをCPUで処理する際の優先順位を、6段階に分けていた。これに応じて順位の高いものからCPUを優先的に使わせていたのだ。

 一方で、ハードディスクなどへのアクセスに関しては、すべてのソフトウエアが同列の扱いだったという。複数のソフトウエアが同時にハードディスクにアクセスを試みると、ソフトウエア間でアクセスの奪い合いが起こる。そのため、例えば「スパイウエア対策ソフトがバックグラウンドで定期スキャンを開始したために、ユーザーが利用していたWordの動作が遅くなる」といった現象が起きていた。

 Vistaでは、ハードディスクなどへのアクセスに関しても、ソフトウエアごとに優先度の高低を決めることができる。バックグラウンドで動くソフトウエアをLow-Priority I/Oとして設定しておけば、ユーザーが意図的に立ち上げて利用しているソフトウエアの動作を優先させることが可能だ。

【ソフトウエアの体感速度が向上する】
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 Low-Priority I/Oを使用するように設定するのは各ソフトウエアの開発元。詳細は未定だが、マイクロソフトでは、ウイルス対策ソフトのようにバックグラウンドで動き、システムに負荷をかけやすいソフトウエアに関しては優先度を低くするよう、開発元に呼びかける方針だ。

【優先度を設定するのは開発元】
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 Vista自体にも、スパイウエア対策ソフトの「Windows Defender」や、定期的に自動でデフラグを実行する機能などバックグラウンドで動作するソフトウエアが複数搭載されている。これら新機能は、パフォーマンスを損ねるという事態を避けるため、初期状態でLow-Priority I/Oに設定されている。