DirectXの画面描画機能は、3次元(3D)表示など、計算量が多くCPUにとって負荷の高い処理を、DirectX対応ハードウエア(グラフィックスボード)をフル活用することによって高速に実行する。例えば、Vistaの大きな特徴である半透明のウインドウ表示は、グラフィックスチップの機能を使って実現されている。半透明処理は、CPUにとってはとても負荷の高い作業。ウインドウが動かされるたびに背景の色を特定し、半透明に見えるように演算する必要があるからだ。Vistaではこれをグラフィックスチップが請け負ってくれるため、ユーザーは半透明のウインドウをスムーズに操作できる。
画面切り替えの動作にも、同じくDirectXを通じてグラフィックスチップの機能を使う。Vistaでは、起動中のアプリケーションを3Dで一覧したり、画面イメージを表示させたりしながらアプリケーションを切り替えられる。こうしたことが可能なのは、グラフィックスメモリーのうち画面に示されないデータを格納しておける領域(オフスクリーン領域)に、起動中のアプリケーションの画面をすべて保存しているからだ。
DirectXの画面描画機能は、Vistaが用意する新API「WPF(Windows Presentation Foundation)」でも採用されている。WPFのおかげで、一般のアプリケーションにも3D表示などを多用する見栄えの良い製品が多数登場しそうだ。実際に「Vista搭載パソコンにプリインストールされるアプリケーションにも、WPFを使ったものが出てくるだろう」(マイクロソフト)という。
【描画にはハードウエアを利用】 |
【隠れた画面のデータも保持】 |
*この機能を利用するには、対応するハードウエアが必要です