ページプリンターを使っていて遭遇する印刷トラブルというと、真っ先に頭に思い浮かぶのが紙にまつわるトラブルだろう。具体的には、紙が詰まる、複数の紙が一度に送られる(これを「重送」という)、用紙が折れる、しわになるといった現象だ。画像に筋が出る、かすれるなどの画像の不具合も考えられるが、多くのユーザーにとっては紙にかかわるトラブルの方が圧倒的に身近だろう。

 詰まった用紙を取り除くのは大変だし、誤って紙をちぎったりして自力では取ることができない状態になってしまうと、サポートを呼ぶことになる可能性もある。ありがちだが、是非回避したいトラブルだ。

 ページプリンターはさまざまな紙が使われることを想定して設計されている。だが、用紙の種類や状態、給紙のセットの仕方など使い方によっては、それでもトラブルになることもある。

 そこで、ページプリンターの紙送りの仕組みと、なるべく用紙のトラブルを起こさない使い方を紹介する。今回は前編として、仕組みを解説しよう。

なぜプリンターは止まるのか?

 紙詰まりなどのトラブルをよりきちんと把握するために、プリンターが紙詰まりや給紙不良などでエラーを起こす設計上の仕組みを理解しておきたい。

 用紙は手差しトレイやカセットから給紙ローラーで送り出され、プリンター内部へと搬送される(図1)。給紙された直後の搬送路には用紙が通過したかどうかを検知する給紙センサーがあり、このセンサーを用紙が通過したタイミングから用紙が感光ドラムの位置に行くまでの時間を算出し、用紙の上の目的の場所に画像が転写されるように画像形成が行われていく。トナー画像を乗せ、定着器を通過して印刷が完了した用紙は、排紙センサーを通過して、プリンターの機外に排出される。このように、用紙の動きを複数のセンサーで検知し、正常に紙搬送が行われているのかをチェックしながらプリンターは動いているのだ。図1はモノクロ機の場合だが、カラーレーザーでも基本的な用紙を送っていく仕組みは同じだ。

図1
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図1 レーザープリンターの概略断面図。用紙の動きは搬送路の途中に設けられたセンサーで検知される