「君は私用メールをしていいと思っているのか」。30歳の女性Aさんは、ある日突然、上司に呼び出され、別室でこう問いただされた。Aさんの会社では社員あてのメールをすべてチェックしている。実は、Aさんは数日前、見ず知らずの相手から、「お金が必要になったから振り込んで」という内容のメールを受け取っていた。明らかに知り合いを装った詐欺メールだが、社内のメールチェックで業務に不適合と見なされたのだ。上司には無実を訴えて理解してもらったが、思い出すたびに釈然としない気持ちがこみ上げてくる。

 33歳の女性Bさんは、ある日、自宅でアダルトサイトの勧誘メールを受け取った。パソコンを共有して使っている夫に変なサイトを見せたくない一念で、「配信解除」と書かれたアドレスに思わず返信してしまう。

 だが逆に、数日後には処理できないほど大量の迷惑メールが届く羽目に。現在、迷惑メール対策に定評があるプロバイダーへの乗り換えを検討しているという。

 迷惑メールの被害が深刻化している。インターネット上を行き来するメールの、実に8割以上が迷惑メールという調査結果もある(下図)。

【ネット上に流れるメールの8割以上は迷惑メール】

 その種類も従来の宣伝・広告のみならず、出会い系サイトへの勧誘、架空請求の詐欺など手口も増えている。いまや迷惑メールは我々の仕事や生活に支障を来たすほどの存在になってきた。

【受信トレイにあふれる迷惑メール】

 実際にユーザーはどれほどの被害を被っているのか。その実態を調べるため、本誌編集部はWebサイト上でアンケート調査を実施。読者を中心に約1600人から回答を得た。

【「我慢できない!」 アンケートに寄せられたユーザーの声】