喉元に何か詰まったようないばらの道——補償申請の実際をご理解いただけただろうか。「補償があるから安心」は全くの見当違い、「やられたらおしまい」くらいの心構えが必要である。落札前に詐欺師が使う口座を調べたり、入札履歴などを確認する手間を惜しまないことだ。

 なお、ビッダーズと楽天フリマにもそれぞれ独自の補償制度があり、各社のWebサイトに申請手順の説明がある。補償金の上限は前者が10万円、後者は20万円だ。

 では実際に詐欺に遭った人たちはどうやって、いばらの道を乗り越えてきたのだろうか。補償を受けた人に話を聞いてみた。一人はインターネット被害者連絡会「ターゲスト」の代表を務める中島慎一氏。もう一人は詐欺被害体験をメールマガジンなどで記した川口正洋氏。二人ともYahoo!オークションから補償を受けている。

【インターネット被害者連絡会「ターゲスト」】
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【オークション詐欺の予防接種】
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■中島さんはどうして被害者連絡会を作ろうと思ったのですか。

中島 私は2002年に初めてネット詐欺に遭いました。それまで趣味のWebサイトを作っていたのですが、被害者同士の連絡の場が必要と思い、趣味のサイトをそのまま被害連絡に使っていました。その後、詐欺に遭った人から相談されるようになり、そういった人のための組織が必要だと思い設立に踏み切りました。

 実際、中島氏のWebサイトを見ると、オークション被害に遭わないための具体的な方法や、要注意出品者のリストなどが掲載されている。被害者のための掲示板などもあるので被害に遭った人は一見の価値がありそうだ。

■詐欺に遭うまでのオークション経験はどれくらいですか。

中島 被害に遭った2002年までに200件くらい取引していました。基本的に入札の方が多かったです。
川口 私は20件くらいで、出品の方がやや多いくらいだったと思います。

 二人とも百戦錬磨で、怪しいオークションは避けていたという。それでも引っかかってしまった点については二人とも「電話で確認もしたので大丈夫と判断した」と話している。従来は電話で話せればある程度は安心できたが、今では相手がプロだと、電話で話しても安心できないという。